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映画「ENTER THE VOID」を観た話。

ギャスパー・ノエの長編監督映画「ENTER THE VOID」(2009年)を観ました。

新宿歌舞伎町で暮らす兄と妹の堕落が、チベット仏教の死生観と絡まりながら、一人称視点/死後の精神の俯瞰視点という独特のカメラワークで描かれていく作品。

日本語字幕や吹き替えが無いので、ブルーレイ版の英語字幕を必死に観ました。何度もインサートされるサイケデリックな映像や、俯瞰視点で東京の街をグルグル回るカメラワークで2時間41分、見るのがかなり辛い!!でも終わった後の独特のダウナーな気分はこの映画でしか味わえないんじゃ無いでしょうか。流石ギャスパー・ノエ。

途中、死体安置所で目を覚ますシーンがよく理解できなかったのでgoogleで検索をかけても日本語の考察サイトがイマイチヒットせず。Wikipediaのストーリープロットもかなり大味だったので、英語の考察サイトを翻訳にかけて解釈。あれはリンダの頭の中に入ったオスカーが、オスカーが生き返る夢を観ており、それを追体験しているという理解で良さそう。確かに、死体安置所で目を覚ました人に肩を掴まれたら、いくら兄でも混乱しますよね。

カンヌ国際映画祭パルムドールノミネート作品、舞台は新宿歌舞伎町なのに、日本語字幕の映像が無いのは寂しいところです。セックスやドラッグを扱う映像作品は、いくらテーマが生/死という根源的なものでも、日本での広い配給は難しく、でも現実としては外国人のドラッグが蔓延しているという、日本の逆説的シチュエーションを公開を通して表現してしまった、と納得しておきます。

残念ながら日本語の考察サイトも少ないので、ストーリーをまとめ、Wikipediaを更新してみました。根強いファンの方も沢山いるかと思います。間違いがあれば是非Wikipediaを更新してください。

少し興味を持った方は、サンダンス映画祭で拍手が起きたという冒頭のクレジット映像、そして映画の中で沢山インサートされるヴィジュアルエフェクト映像を貼っておきます。

こういう映画が、広く公開され、表面的な部分だけじゃなくて深いテーマ性まで皆んなでディスカッションされるような文化になるといいですね。

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