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我が懐かしのグルノーブル

ぼくは、1993年から2 年間フランスに留学していました。グルノーブル政治学院(Institut d’Etudes Politique de Grenoble, 通称 
Science-Po シアンスポ )で、主に国際政治の研究をしていたのです。

グルノーブル政治学院 2010年

その頃のグルノーブルの様子をお伝え出来ればと思います。

グルノーブルというと、1968 年の冬季オリンピックを思い出さ れる方もいらっしゃると思います。その時の記録映画は、『白い恋人たち』(原題: 13 Jours en France 
監督: クロード・ルルーシュ) と邦題がつけられ、またフランシス・レイ作曲の同タイトル(日本語も仏語も)のテーマ音楽は世界のスタンダードナンバーとな っています。

グルノーブルは、冬季オリンピックが開かれる位ですから、周りを高い山々に囲まれ、冬はかなり寒くなります。他方夏はやたら暑く、コルシカ島のアジャクシオより気温の高い日が少なくなかったです。そのような盆地の街です。

パリからは、直通のTGVで3 時間です。人口16万人で、郊外人口を合わせると 40万人の都市圏です。研究学園都市として有名でシアンスポの他、グルノーブル第一大学、グルノーブル第二大学、グルノーブル第三大学 (Stendhal)(2016 年より 3 つの大学はグルノーブル-アルプ大学となっています )、グルノーブル理工科学校 (INPG)、グルノーブル経営学校(EMG)、フランス国立情報学研究所(INRIA)、グルノーブル原子力研究セン ター、原子力・代替エネルギー庁(CEA)、ヨーロッパシンクロトロン放射光施設(ESRF)があります。グルノ ーブル第三大学が Stendhal と名づけられている通り作家スタンダールの生地であり、記念館も設立されています。 また、ジャックリーヌ•ケネディ•オナシスやフランソワーズ・サガンはグルノーブル大学に通っていました。

大学構内にて 2010年


街には現代的な路面電車(トラム)が走り、北部の郊外からグルノーブル駅を経て繁華街を通り大学へと繋がっています(他にも2 系統あります)。大学に繋がっている為、朝夕、昼時のトラム (当時は3 両編成、今は6 両編成のものも)は、東京の地下鉄並みに超満員になります。

学生は、勉強熱心な人が多く、図書館はいつも満員です。基本的に親からの仕送りは受けずに生活しているので、かなりの節約 生活をしています。学食での食事(12 フラン程度、カルネもあり) は高く感じるらしく、ミニトラックで売りに来るパン屋さんのフ ライドポテトを挟んだだけのバゲット(3 フラン)等を昼食にする 人を多く見かけました。

雑誌 L’Express が、毎年フランスの住みやすい街特集を組んでいたのですが、当時グルノーブルは3 年連続でナンバーワンになっていました。郷土愛が強い人が多いのです。グ ルノーブルをアルプスの中心(フレンチアルプスではなく、全アルプスの中で)であると言ったり、ローマ時代以 来の古い歴史を誇ったり、グルノーブルの文化水準の高さ(各種大学、研究機関のみではなく、フランスでも指折 りの大きな美術館もあります)に言及する人々で溢れています(言うまでもないがといった口調です)。

周りを山々で囲まれ、自然公園がいくつかあるので、観光客も多いです。特にヴェルコール地方自然公園は、フランス初の地方立自然公園です。生物多様性には目を見張るものがあります。135種の繁殖鳥類、65種の哺乳動物 種、17種の爬虫類および両生類など多数の動物種が集まっています。自然公園の全てに直通のバスが走っていました。また冬場になると冬季オリ ンピックの山岳会場となったシャムルースや、富士山並みの高度で氷河 になっているドゥザルプなどのスキー場へのバスもありました。

付け合わせだけでなく、独立した料理としても楽しめます


このように色々な側面を持つ街です。料理面では、グルノーブル地方のオリジナル料理で、世界中で食べられている付け合わせのグラタン風 ポテト「グラタン・ドーフィノワ gratin dauphinois」があります。

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