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[50.3mm]マイマイカブリ採集のおかげ!


標本DATA

【種類】  コクワガタ Dorcus rectus 

【サイズ】 50.3㎜

【採集場所】福島県伊達郡桑折町

【採集日時】2023年1月18日 9:00~10:00

【採集方法】ヤナギ類の洞に溜まったフレーク内より採集

【採集者】 Cassiopeia


このコクワガタも、間違いなく50ミリ越えでございます。

福島の冬は寒い!そんな極寒の季節にクワガタ採集??

カシオペア君は、クワガタに負けないくらい情熱を注いでいる甲虫がいます。

マイマイカブリです。上翅は退化(進化?)して開かない。

昆虫の定義の一つに「4枚翅」があります。だけど、マイマイカブリの上翅はくっついてしまい、2枚に分かれない。縦に1本ラインが入っていますので、昔は2枚だったのでしょう。進化(発達)の過程で飛ぶことをやめてしまった。地上歩行性の飛べない甲虫です。

マイマイカブリは、その名前の通りマイマイ(かたつむり)にガブリとかぶりついて食べるため、この名前がつけられたのだと思います。

「ろくろ首虫」…長い頭部と胸部を持つことから、そんな可愛くない呼び名も持っています。

私の故郷(奈良)のマイマイカブリは、だいたい艶消しのブラック!おまけに捕まえると自己防衛のために恐ろしく不快な臭いを出します。捕まえると指先が強烈に臭くなり…もう二度と捕まえない!と心に決めたほどです(笑)

それが、東北地方のマイマイカブリ(主にコアオマイマイカブリとキタマイマイカブリ)は美しいのです。胸部が紫や青色にキラキラと輝きます(金属光沢)。地上歩行性のため移動が限られ、地域毎に個体群が見られます。各地で色の変化が見られるためコレクションをしたくなる甲虫です。

マイマイカブリを専門に集めている人のことを「マイマイ屋さん」と呼ぶそうです。では、私は「クワガタ屋さん」ですかね(笑)

そうそう、美しいけど、臭いは…やっぱりアウトですよ(苦笑)

カシオペア君は、この色合いに魅了されたんでしょうね。

この魅力的な甲虫を得るためには冬季の材割採集がベスト!川沿いの立ち枯れや倒木を削って、冬眠中のマイマイカブリを探し出します。マイマイカブリは昆虫ですから、活動しているのは、もちろん夏です。でも、カシオペア君の夏は、クワガタ採集で大忙し…夏の貴重な時間はマイマイカブリではないのです。

そうそう、コクワガタの話でした。

このコクワガタはマイマイカブリ採集の副産物です。

ヤナギの大きな樹洞に溜まったフレーク状の木くずを掘っていたら転がり出てきたそうです。狙っていたマイマイカブリではなかったのですが、こんな大きなコクワガタが出てきたら嬉しいですね。

しかも、滅多に採れない50ミリ越えです。

大アゴ先は擦れて丸くなり、右の小顎鬚(しょうがくしゅ)が切れてしまっています。昨年から生き抜いてきた証です。格好良い!

私はピカピカの完全体より、こういう個体に魅力を感じます。

真冬の河川敷は冷たい風の通り道!その寒さは半端ではない。

何も採集できないと、「ぼくは、いったい何をしているんだろう??」と心が折れそうになるそうです…苦笑

しかし、こういう出会いがあると、もう何とも言えない嬉しさが込み上げる!昆虫採集がやめられなくなる瞬間とのこと(笑)

【執筆者:川原 洋】


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