21世紀型の問題解決スキルとは?
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今日は”21世紀型の「問題解決スキル」” についてお話ししたいと思います。
問題解決スキルのこの 「問題」が20世紀のものではなく、21世紀の「問題」を取り扱い、解決に導いていく、ということを指します。
では、21世紀型の「問題」とはどんな問題を指すのでしょう?
そもそも「問題」には種類が3つあると言われています。
1つ目は”扱いやすい問題” 2つ目は、”複雑な問題”で3つ目が”厄介な問題”と言われています。
21世紀型の問題解決スキル、とはこの厄介な問題に取り掛かるスキル、ということになります。
では、”厄介な問題”を理解していくために最初の2つの問題からご紹介していけたらと思います。
1つ目の、”扱いやすい問題”は、この現状とゴールの状態がどちらも明確な状態です。これまでの最適解が既に誰かによって編み出されており、再現性がある、規則に当てはめることで解決ができる状態。
例えば、”扱いやすい問題” の例として上げられるのは、ショートケーキを6つ作る、という問題です。
この問題に対しての、ゴールの状態は非常に明確ですよね。ショートケーキを6つ作る、というゴールに対して、その差分を埋めること。
小麦粉やバター、クリーム、イチゴなどの材料を買ってきて、それを自宅のキッチンでレシピに沿って作ります。このレシピは、今ではどこでも手に入りますし、レシピに沿って作っていけばよっぽどのことがない限り失敗はしないはずです。
このような”扱いやすい”問題の典型例としては、例えば、既に確立された業務内容やマニュアル作業だったりするわけです。
このように最適解が既に存在していて、アルゴリズムに当てはめられるものは、20世紀型の問題、と言えるでしょう。こう言った問題解決が、人間ではなくロボットやAI、機械によって代行されてくることになるということです。
2つ目の問題は、”複雑な問題” です。複雑な問題は、全体像を理解をするのが難しく、解決策を導入したと思ったらそれが別の問題を作り出してしまい、意図せぬ結果を招いてしまう、というものです。
新たな技術や環境が伴う問題などに起こりがちです。
例えば、先ほどのショートケーキの例をとると、ケーキを6つ作ることは”扱いやすい問題”だったわけですが、これを60個作る、となるとどうでしょう?これは複雑な問題になってきますよね。なぜなら、ケーキ60個作ろうとすると、まず材料の発注先を変えなきゃいけない、それを調達するための移動手段を変えなきゃいけない、キッチンの設備環境を変えないといけないかもしれない。一人じゃできないから人を雇わなきゃいけない。そうなると人をどうマネージするか、という問題も考えていかないといけない。といった具合に、どんどん問題が多岐にわたっていきます。
このように、問題の全体像を理解していくのが難しく、1つの問題に対して解決策を導入したと思ったら、新たな別の問題が起きてしまい、意図せぬ結果を招いてしまうかもしれないですよね。でもこの場合、ゴールの状態は理解されていますよね。60個のケーキを完成させている状態。
そして、複雑な問題の中でも、問題自体が「理解されていない状態」つまり、Wicked Problemと言われる”厄介な問題” が3つ目の問題にあたります。
“厄介な問題”はゴール自体がわかっておらず、曖昧であり、現状とゴールの状態がほとんど理解されていないものを指します。
例えば、環境問題、貧困問題などが挙げられます。
デザイン理論家のHorst Rittel と Melvin Webberによると”厄介な問題”には10個の特徴があるということです。その中の一部を紹介すると、
国連開発計画(UNDP)が2月8日に発表した報告書『人新世の時代における人間の安全保障への新たな脅威』では、人間の安全保障と地球への配慮、人間開発が互いに足を引っ張ることなく、調和しながら前進するようにせねばならない、と報告書の著者は述べています。
つまり、ある問題の解決が他の問題を悪化させることがあってはならないということです。
例えば、経済格差の問題と気候変動の問題が入り組合い、新たな問題を発生させている状況の例を話しています。
より開発の進んだ国は、地球に圧力をかけながら生み出されている恩恵をより多く享受している一方で、その悪影響をあまり受けない傾向にあることから、気候変動が不平等をさらに拡大させていることが分かります。
このように、まだ現状の全体像も理解されておらず、理想の状態も見えていない、それぞれの専門家や解決者によっても解釈が異なり、利害関係者が多岐にわたる、といったとても”厄介な問題”です。
21生期型の問題解決、とはこのように、まさに”厄介な問題”に対して解決へのアクションをしていくスキル、であると私は考えています。
ゴールや理想の状態も明確じゃない。じゃあどこから手をつけたらいいのか。
「問題を解決しようとする」ではなく「て名付ける」ことが有効であると言われています。
まず、問題の特性を理解する。貧困問題について理解をしていく。貧困問題がそれぞれ絡み合っている要素はあるのか?
何とつながっていて、これがどんな因果関係を作り出していっているんだろう?
このように良いか悪いかの判断は留保して事象と事象の関係性に着目します。これをZoom Inの近視眼的な眼でみること。
そして、自分たちの組織の立場から見える、問題の因果関係マップを作ってみて、それぞれの事象を細かくみていきます
それと同時に、Zoom outの遠視眼の見方も取り入れていくことが重要です。こうやってそれぞれの事象との関係性が、別の事象との関係性と絡まり合い、問題をつくりだしてしまってる、意図せぬ結果を招いてしまってるシステムなんだ、と全体像を理解していくのです。
これは自分一人で行うのではなく、出来るだけ多様なステークホルダーの人と取り組み、多様な意見を組み込むことが重要であると言われます。
自分たちの組織が捉えている問題 と 異なるステークホルダーが捉える問題 が違っている可能性が大いにあり得るので、そこで自分の中の思い込みを外の人の意見を聴くことで理解をしていきます。
このように対話を深めていくことで、問題の多角的な視点も取り入れて、全体像がようやく見えてくるのです。
そして異なるステークホルダーのみんなで課題に対して連携をして解決のために共に取り組もうと団結します。
これを、”コレクティブインパクトを創る”、とも言われています。
このような厄介な問題に対して異なるステークホルダーたちが取り組んで行った例として、アメリカの公教育システムはその規模と複雑さのために何十年もの間、改革に失敗してきた厄介の問題の典型でありますが、アメリカのオハイオ州シンシナティで、地域のリーダー等を巻き込んで、中学生の学業成績の危機に立ち向かい、教育のクオリティを大きく改善したという例があります。
これには影響力のある民間財団や企業財団のトップ、自治体の担当者、大学の学長、NPOや地元組織のリーダー等が参加し、それぞれのアジェンダを手放し、生徒の学業成績を向上させるための集合的なアプローチをとることを決意したという事例があります。
21世紀型の問題解決スキルは、単に分析力や一人で解決していく頭脳明晰さだけでなく、こうやって異なる関係者とコラボレーションするスキルも総合的に求められてくる、ということです。
共感力、と言ったエモーショナルインテリジェンスもそうです。
21世紀の問題解決スキル にはこのように様々なソフトスキルと言われるスキルも伴ってくるわけです。
まとめです。
21世紀型の問題解決スキルは”厄介な問題”について立ち向かっていくスキルを指します。
“厄介な問題” とは、ゴールの状態も明確でないゆえ、問題がなんなのか?と捉え方も専門家によって異なります。
なので様々な利害関係者と連携して、全体像を捉えていき、共通のゴールを設定し、解決に挑んでいきます。
皆さんは、どんな”厄介な問題”に取り掛かっていきたいですか?
Project MINTでは、受講生の一人ひとりが自分が生涯にかけて取り掛かりたい”厄介な問題”について理解を深め、どんな最初の一歩を踏んでいけるのか、卒業イベントの「インパクトデー」で言語化し、その道の有識者等と対話をしていきます。
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