【「景岳全書」婦人科を読む】2.婦人規上 2-1.総論類 論難易二(3)
【本文③】
然尚有人事之難、如寇宗奭引黄帝之論曰:凡治病、察其形気色沢。
……形気相得、謂之可治;色沢以浮、謂之易已。
……形気相失、色夭不沢、謂之難治。
又曰:診病之道、観人勇怯、骨肉、皮膚、能知其虚実、以為診法。
故曰:治之要極、無失色脉、此治之大則也。
【書き下し】
然して、なお人事の難あり。寇宗奭の黄帝の論を引くが如く曰う:
およそ病を治するに、その形気色沢を察す。
形気相得るときは、これを治すべきと謂う。色沢しく以て浮なるときは、これを易え已しと謂う。
形気相失うときは、色夭く(くらく)沢わしからず、これを治し難しと謂う。
又曰く:病を診するの道、人の勇怯、骨肉、皮膚を観る。その虚実をよく知れば、以て診法となす。
故に曰く : 治の要を極めるに、色脈を失うことなし、これ治の大則なり。
【口語訳】
ただし、さらに人事的困難がある。寇宗奭が黄帝の論を引用していう。
一般的に病を診察するときは人の形体と神気、色つやを診察する。
形体と神気がお互いに一致しているものは治しやすいという。色つやがよく肌に潤いがあるのは良くなりやすいという。
形体と神気がお互いに一致しないときは、顔色暗くくすみ、色つやがなくなり治すのが難しい。
また、疾病を診察するには人が強壮か虚弱か体質を診、骨肉・皮膚を診てその虚実をしること、これが診法である。
これらの説を踏まえて、治療において最も重要なことは、色つやや脈を診て診断することが治療の大原則である。
【山口解説】
病を診察する時は、まず望診から行うのが古典医学の決まりです。形ある姿形と動き方を診ると共に、形なき胃の気の有無を色や、つやによって判断します。これが望診です。言葉にするのは簡単ですが、実際に臨床に用いるには非常に難く、特に形なき気を診るには、経験に裏付けされた直感が必要となります。
>>論難易二(4)
<<戻る
<目次>
書き下し・口語訳/仁木小弥香
解説/山口誓己
ここから先は
こんにちは「NISHIZUKA LABO」です。 私たちは、鍼灸、古典医学、経絡治療、東洋医学の普及・伝承のため、電子コンテンツを活用し、出版社や部数にとらわれることなく少人数を対象にした情報発信や、販売部数の読めない若手・新人などの発掘・育成に努めてまいります。