アジャイル執筆プロセス(案)

 現在までに長編2作を完結させ、三作目の長編を考えています。それにあたって、その二作から得た反省と、推し作家様方の書き方を参考に、第三作目の長編は新しく考えた手法を取り入れることにしました。

 その名も、
「リーン・プロット、アジャイル・会話ベース・プロトタイピング式、スプリント・プロセス」
 長っ!(笑)
 これぞエンジニア式の小説開発への応用になるはずw!

 これは、私がソフトウェア工学の専門家だということもあり、何とかその手法を取り入れた上で、自身の執筆作業の工程を明確化にし、より効率よく面白い物語を作り出したいという職業病的メモです。
 (もちろん自身の作家としての才能の問題はありますが、それはここでは触れません(笑))

0.前提・これまでの方法
 まずは前提として、私がこれまでどうやっていたかを簡単に説明します。

 1.まずはプロットを書きます。約3万字程度。必要な設定やあらすじ、キャラ設定(性格や口調、背景となる事柄などなど)
 2.プロットを元に、大体のエピソード一覧を作ります。これは、三幕構成を元に、全体として話がうまく盛り上がったり、流れたりするように考えます。
 3.エピソード一覧を元に、執筆します。
 4.下読みしてもらう場合は、一話毎に指摘をもらい、修正します。

 本来なら、完成後にしばらく置いて推敲とすべきですが、過去2回、コンテスト(カクヨムコン)に応募しつつ締め切りに追われてという事で、間を置いたきちんとした改稿は出来ませんでした。

 こうやってみると、これはそのまんま悪名高き「フォーターフォール」式。随時プロットなりキャラ設定なり修正していたとはいえ、思い切った変更はできません。
 もちろん3,4辺りは行ったり来たりしますが、基本的な流れは代わらないでしょう。


 さて、では新しい手法はどういうことか?
 それは、「ウォーターフォール」から「アジャイル」への転換。ソフトウェア工学では当たり前のことを、小説書きでもやっと実践しないといけないことに気づいたわけです(笑)


 では、「リーン・プロット、アジャイル・会話ベース・プロトタイピング式、スプリント・プロセス」とは何か? 順番に要素を説明します。

1.リーン・プロット
 リーン(Lean)とは、「無駄のない」という意味で、「リーン開発」とは、小さく初めて無駄を極力省いて始め、上手くいくかどうかを早期に見極める方法論です。
 私の場合、プロット&設定の量が多く、これまでの各長編毎に3~4万字くらいありました。プロットや設定をかなり詰めないと気持ち悪かったのです。(設定厨ともいいます)
 システム開発で要求分析や設計に時間をかけるのと同じですね。

 それを今回は1万文字程度の概要に抑えて、取りあえず書き始めることにすることにしました。アジャイル開発の基本です。

 別の理由は、私が推す作家様方は、そんなにプロットを詰めないからです。もちろんざっとしたプロットや大事な部分の設定はあるようです。
 でも、実際は書きながらそれが決まっていく。
 もちろんそういう風に書ける才能がある、といってしまえばそれまでです。
 しかし、いくつかの作品作りに関わらせてもらった経験上、書いてみて初めて分かる物語の流れとかキャラの性格とか、そういうのがあるのは確か。そして、そうして出来上がっていく作品は確かにダイナミックで面白い。推し作家様がそうやって書いているのに、それを真似しない手はないw!
 私のようなプロットガチガチだと、予定調和的物語になって、面白くなくなる。そう感じました。

2.アジャイル・会話ベース・プロトタイピング式
 これは、「簡潔にさっと」「会話のみの文章」で全体を「試し書き」する、という意味です。
 プロトタイピングはUI設計やアジャイル開発の主流ですが、とにかく作ってみて試し、試行錯誤しながら形作る、のが大事だという事です。

 ラノベの場合は会話主体が主流なので、極端な話、この方式で小説を書き上げてもいいくらいです。(そういう小説もあるし)
 あと、ラノベだと、読者は会話しか読まないという報告もあります。
つまり、会話の流れだけで物語が分かるくらいであると、それだけシンプルに面白くなる。地の文はそれに添える装飾・スパイスなんだと。

 まあでもそれは極端な例だとして、要はそれくらい簡潔に取りあえず全体を書き上げることが重要ではないかと。
 あと、完結までこれで書き上げると、物語全体の流れの確認や面白さが、早期に判断できるであろうということです。

3.スプリント・プロセス
 アジャイル開発において「スプリント」とは、決められた期間に、決められた機能を実装する、典型的なスクラム式で通常2週間ほどの短い開発期間をいいます。
 つまり、少しずつの機能を、短期間で追加し、それを何回も繰り返すのです。
 小説書きに当たっては、期間を決めて「全体もしくは主要部分」を書き上げ、それを繰り返しながら、肉付けし完成度を高めていく、というふうになると思います。
 通常おこなう推敲や改稿を執筆の主体とする事になります。

 つまり、

A.初期プロット、初期の簡易会話ベース執筆
B.「プロットを更新」
C.「肉付け、改稿、推敲」
そうして、A→B→C→B→C→B……、と繰り返すのです。


その他の留意点
 もちろん、上記のプロセスだけで面白い作品が描けるわけではありません。以下に私自身が現在気づいている特に注意すべき点を挙げたいと思います。

キャラの確立・重要要素の明確化
 ロールプレイング等で、そのキャラになりきれることが大事。
 私の知る推し作家様方は、総じて「多重人格」じゃないか(?)と思うほど、キャラになりきれる人たちです(笑)凄すぎ。

 設定上大事な項目を挙げるとすると、
主人公の「目的・欲望、成長・変化、境遇への共感要素、行動・心情・性格への共感要素、背景となる物語」
ヒロイン「主人公との関係、意味のあるイベント」
キャラ全般「魅力、弱点、ライバル、ギャップ、口調」

 とにかく、こういうことが完全に把握されていて、キャラが頭の中で本当に生きているくらいに動けることが重要じゃないでしょうか?
 次の作品ではこの点を徹底的に頭にたたきこみたいと思っています。


 以上、現時点で思いついたことを書き出しました。他に思いついたら追加で投稿したいと思います。


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