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Kreatorの好きな曲 5選

IN FLAMES × KREATOR来日に向けてあらためて両バンドの良さを伝えるnote、2記事目です。
前編ではIN FLAMESについて語っています。
後編となる今回はKREATORの話をします。

KREATOR

DESTRUCTIONSODOMと並びジャーマンスラッシュ三羽烏、あるいは最近ではTANKARDを加えてThe Big Teutonic 4と呼ばれたりもしているKREATOR。
初期となる80年代は速度と凶暴性に特化したピュアスラッシュであり、同じドイツといえど他3バンドとは立ち位置を異にしています。
2ndアルバム"Pleasure to Kill"は暴力的なスラッシュメタルの極致であり、歴史的名盤となっています。
その後、5thアルバムまでは完成度やドラマティック性を高めていくも、90年代のモダン・ヘヴィ化の波に押され歌、メロディ、ゴシックなどの要素を取り入れて世間的には迷走期と呼ばれることに。
10thアルバムからスラッシュ要素を主軸に取り戻し、11thアルバム"Enemy of God"でスラッシュメタルという軸を保ちながらメロデスなどの新しめなジャンルを凌駕するエクストリームかつクラシックな作品を打ち出します。
12thアルバムでさらにピュアなスラッシュへ回帰しつつ、ゴシック要素への挑戦の中で取り入れたメロディという武器を存分に発揮して名盤を量産していきます。
そして最新作となる15thアルバム"Hate Über Alles"ではいよいよ円熟し普遍的なヘヴィメタルへの接近を見せています。

何せ活動の長いバンドなので方向性や評価も変遷がありますが、2nd〜4thの凶暴な古典的スラッシュメタル11th〜13thのメロディアスかつブルータルな新しいスラッシュメタルの2つの顔が代表的なイメージになるかなと思います。
その2つを繋ぐのは強烈なスピードとボーカルであるミレの唯一無二の声にあります。これさえ失われなければたとえどんな音楽であろうとKREATORとして成立してしまう、そんな凄みがあります。
そんなキャリアの中でも個人的に好きな曲を挙げていきます。

Awakening of the Gods
初期のKREATORのサウンドは基本的にシンプルでありながら印象的なリフとスピードで押しまくるものがほとんどなのですが、2ndと3rdの間にリリースされたEP"Flag of Hate"に収録のこの曲はなんと7分半という長尺曲、かつどんどんリフを展開していく複雑な曲です。
長尺・展開と聴いてイメージする難解さやスピードが殺がれるような感覚も皆無で、終始緊迫感とキレを維持しています。
"Pleasure to Kill""Tormentor""Flag of Hate"などのストレートに爆走する名曲群の前にどうしても埋もれてしまいがちですが、この曲こそ初期の総決算ともいうべき楽曲だと思います。

Toxic Trace
暴走路線の魅力をそのままに一気に完成度を高めた3rdアルバムはフレーズのひとつひとつの聴かせ方が洗練されており、この曲もそうした例に漏れません。
少しTESTAMENTを思わせるようなゾクゾクするリフ回しで不穏なメロディーを刻みたおす様子は北欧ブラックにも肉薄していて、思えばこの3rdアルバムがリリースされた1987年にはMAYHEMがデビューミニアルバム"Deathcrush"を出していますし、その内容もスラッシュメタルを邪悪にしたような内容で、なんとなくエクストリームメタルの系譜が見えてくるような気がします。
Music Videoを作りたくなるのも納得の傑出した曲となっています。

Pandemonium
いわゆる迷走期、時代の流れでゴシックやインダストリアルの要素を入れた中でもかなり異色といえる9thアルバム。ジャケからしても他の作品とは隔絶しています。
しかしこの時期があったからこそKREATORは第二の黄金期を迎えることができた。そのことがわかる楽曲がこれです。
オーセンティックなヘヴィメタルとしての格式が高く、現在のKREATORがやっていても特に違和感がないような曲であり、端々にあふれる抒情性がシンプルなはずの曲構成にもドラマティックさを持たせています。
語りかけるようなミレのボーカルも弱さではなく、こうでなくてはならない、というレベルに昇華されています。
まさに隠れた名曲です。

Radical Resistance
世間的にはこのアルバムの前の"Enemy of God"が会心の復活作、ということになっているかと思うのですが、個人的には12thアルバム"Hordes of Chaos"こそ真のスラッシュメタルへの回帰作だと考えています。
"Enemy of God"ではよくも悪くもモダンでエクストリームなメタルへの目配せがあったというか、そういう要素も貪欲に取り入れた実験作であり、ピュアなスラッシュメタルにメロディを乗せるという軸がしっかりと定まったのは今作からになります。
歌詞も見逃せないポイントで、"Unite to Fight""People from the East/West/North/South"といった言葉のチョイスから世界中のメタルウォーリアーを見据えたスケール感が伺えます。
何よりボーカルラインが最高にかっこいい!
ライブでブチ上がるしかないです。

666 - World Divided
折しも新型コロナウィルスが猛威を振るい始めた2020年3月末にこの曲をリリースした、という天運的な事実もKREATORを生ける伝説たらしめているのではないかと思ってしまうような楽曲です。
ミドルテンポでどっしりとした楽曲に、厳かさすら感じるコーラスワーク。

"分断された世界で、我々は団結する、空に燃える666の下に"
 
という俺が死んだら墓に刻んでくれと叫びたくなるようなかっこよすぎる歌詞が、まさに激動の時代の中で力強く道を示しています。
以前は正直そこまで思い入れが強いわけではなかったのですが、2023年に復活した日本のメタル戦士にとってのヴァルハラことLOUD PARKでこの曲をプレイするKREATORを観て一気に好きになりました。
やっぱりメタルはライブで観てなんぼですね。


というわけでKREATORから5曲ピックアップしてみました。
彼らがライブのセトリを外すことはないとは思うのですが、ファン心理としてはせっかくツーマンだしちょっとマニアックな曲も聴きたいな~となりますね。
ヒマしてるマイケル・アモット呼び出して"Murder Fantasies"やってくれたりしたらアツい……!!

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