ガンダムSEED FREEDOM

最新作は扱わないと言う舌の根も乾かぬ内にこれである。
まあ公式や監督が積極的にネタバレをしているので良いかなと思って。
正直自分はSEEDシリーズをあまり好いていないのだが、
頓挫したかと思われた劇場版が公開されて評判が良いというので、
ネタバレも投下されるし観てしまおうかと。
そんな気持ちで観に行ったら「凝縮されたSEEDの煮凝り」を観た。
或いは「良く出来た公式二次創作」。

時系列設定

どうやらDESTINY終了からそれほど時間が経ってないらしい。
(公式によるとDESTINYがCE.73で今回がCE.75なのでほぼ地続きに近いとも言える)
DESTINYにおいて独断でデュランダル議長陣営を倒したラクス軍は、
世界平和監視機構コンパスとしてナチュラルとコーディネイターの衝突に武力介入する集団となっている。
やってる事はソレスタルビーイングと大差無いのに地球連合とオーブとプラントにシンパがいるから始末が悪い。
大体世界平和監視機構って何だよ。何の権利があって監視してんだよ。
その辺の「主人公側大正義」的な設定はこれ以上なく「SEED」。

それに対して快く思っていない各勢力の代表レベルの人間を取り込んで、
コンパス滅ぶべしをやるのが敵方になるファウンデーション王国で、
未だにデスティニープランをこすっている。
20年経っても進まない話。正しく「SEED」。

キラ・ヤマト

「SEED」本編からまるで成長していなかった、
むしろ甘ったれの自己憐憫とハイパーコーディネイターとしての優越感が増大して、
「やめてよね」を軽く超えてくるセリフを吐いた時、
俺やっぱこいつが嫌いだからSEEDも嫌いなんだわと再確認した。
訓練を受けていないのでアスランとの喧嘩では駄々っ子パンチな辺りお前何年戦争やってんだと(ry

アスラン・ザラ

出てきたと思ったらドラグナーD1のキャバリアー被った妙に解像度の高いシャアズゴックで現れるギャグの塊。
(それ以前にも出てたかもしれないけど多分その辺は寝てた)
自分が観た範囲では物凄く出番が少ない割に、
甘ったれたキラをCQCでボコボコにしながら説教したり、
(「俺の知ってるラクスは(ry」の所でその場にいる全員に「え?」っていう顔されてたのが面白過ぎた)
敵の本拠地に潜入するにあたって光学迷彩で忍び込む時に「ニコルの得意な作戦だな」とチクチク言葉発したり、
ズゴックの中から∞ジャスティス弐式が出てきたり、
心を読む敵をハレンチな妄想で動揺させたりやりたい放題。
なんていうか銀魂の桂みたいな扱いになってた。声も同じだし。

シン・アスカ

ステラの仇と憎んだキラにすっかり心酔してまるでしっぽを振る子犬。
家族と妹の仇やぞそいつ。(尚再編集版でオルガのせいになった)
アスランが大嫌い。自分が負けた理由をジャスティスのせいにするくらい嫌い。
ステラに憑りつかれているが気づいていない。
ルナマリアといちゃいちゃ。中の人も夫婦だし仕方ないね。

ルナマリア・ホーク

最終戦でインパルス乗ったのがディスティニーからのデュートリオンビーム再充電のためとしか思えなかった。
自分もアスランに色目使ってた癖に女同士の戦いでアグネスに対してキラに見てもらえないからってとか言う性悪。

アグネス・ギーベンラート

急に生えてきてキラに色目を使いシンをdisるギャン乗り。
ルナマリアに負けるために配置されたキャラ。
桑島さんは怒った方がいい。

マリュー・ラミアス

戦艦単騎であれだけ戦える時点で作中最強疑惑ある。
最後のあれ絶対入ってるよね。

ムウ・ラ・フラガ

途中から不自然なほど出なくて死んだのかと思ったら
アカツキで奇跡を起こす要員だった。
ドミニオンの陽電子砲をストライクのシールドで防いだ要素再現。
(地上波版では宇宙にヘルメット舞ってたんだけどな)
戦艦の砲撃と大量殺戮兵器のビームじゃ天地ほどの出力の差があるだろうに。
逆にアカツキの装甲どうなってんだよ。化け物か。

ブラックナイト・スコード

ディスティニープラン執行のために調整された特殊なコーディネイター集団(らしい)
心を読む能力がある(らしい)
心を読む能力なのに亡霊が見える
心を読む能力でハレンチな妄想を見て動揺する

その他SEED要素

大量破壊兵器による人体の消滅描写等に無駄に力が入っていて容赦がない

良かった所

戦闘シーンのMSや戦艦の作画がCGとデジタル作画のミックス?になっていて、
これがSEED特有の戦闘コンテと相性が良かった。
一方でデスティニーの戦闘コンテは敢えて昔の機動を再現してるような節もあって、
全体的に気持ちの良い部分は無理に変えてない取捨選択のバランス感。

作中一番の盛り上がり所で「METEOR」が流れる。
あーこれ「SEED」ですわって思った。

悪かったというか首を傾げた所

結局DESTINY最終話と特に変わってないっていうか、
尺が足りなくて描けなかった部分を新しい設定でやり直してる感。
でも着地点はほぼ同じでコンパス大正義で終わる分始末が悪い。

ガンプラ売らなきゃならないからだろうけど、
殆どの新型機が出る意味を疑うような状態。
MSは構成要素の一つでしかないという割り切りとも見えるが、
その割にストフリ最終形態は一機で戦局変える戦闘力がある。

いつの間にか自然に挿入されるニュータイプ的演出。
フラガは前からやってたけど・・・コーディネイターはそういうの無いんじゃないの?
(逆にフラガやクルーゼはなんであれがあるのか謎)

総評

映画としての出来は良かったと思うが、
良くも悪くも「ファンムービー」だったと思う。
一応新キャラ新勢力新MSを大量に投入した事で単なる「同窓会」の体は逃れているが、
要素を凝縮した二次創作感は否めないと思った。
やっぱり20年も経ってるとそういう感じになるしかないし、
それが正解なんだとも思える。
そういう意味ではとても良く出来た映画だった。

そしてこれは奇しくも20周年で新作を作った仮面ライダー555にも繋がるのであった。

OPEN YOUR EYES for THE NEXT Φ's

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?