麻生財務大臣の「結婚して子供を産んだら大変だ」

これは「事実の一部だけを取り出すことによる印象操作」の典型である。

少子化の原因について「一番は、『結婚して子どもを産んだら大変だ』ばかり言っているからそうなる」などの「持論」を展開した。古本伸一郎氏(無所属)が「少子化対策のため、政府が新婚カップルを応援してはどうか」と質問したことに答えた。

古本議員の質問は、国難の少子化への対策として「結婚が出産の前提となっているのであれば、公費投入してでも徹底的に新婚さんを応援するという政治判断はできないか」というもので、それに対して麻生大臣は福岡市の合計出生率は1.3だが地元の飯塚市では「結婚しなくてもどんどん産めなんてやっていないが出生率は1.7ある」ことから、結婚するかしないかには所得以外の要因の寄与が大きい(→単なる金銭支援は費用対効果が低い)のではないかと示唆した上で、記事にある発言をしている。

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「一番」かどうかは何とも言えないものの、結婚のマイナス面を強調する社会の空気が非婚化を促進することは近年の韓国からも明らかなので、麻生大臣の発言は見当違いとは言えない。

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結婚と出産を増やす最も効果的な金の配り方は、低所得の男に給付して経済力を高めることだが、麻生大臣を批判するリベラルな人々は絶対に認めないだろう。結婚した強者(の女)を助け、できない弱者(の男)を挫くのがリベラルの思想だからである。

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リベラルは進歩主義者→根本に社会ダーウィニズム的な観念→「淘汰」を積極的に肯定→KKOの淘汰は正義

付録

麻生大臣が福岡県の前に言及していたフランスの事情を確認する。

「フランスは特殊合成出生率が2%を超えている」と述べていたが、合計特殊出生率(total fertility rate)の単位はパーセントではない。また、1975年以降にフランス本土のTFRが2を超えたのは2010年の2.016だけで、2019年には1.835に低下している。

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麻生大臣は日本は結婚→出産だがフランスは出産→結婚が多いので初婚年齢が高いことを指摘していたがその通りで、2019年には女36.1歳、男38.5歳である。

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これはPACSを経由してから結婚するカップルが多いためで、シングルマザー支援が高出生率につながっているわけではないことには要注意である。

公的支援によって女が結婚しなくても産み育てやすくすることは、父親の責任放棄の支援でもあり、猿社会化を意味することにも注意がいる。


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