MMTシンパの初当選衆議院議員

衆議院議員選挙で初当選(東京2区で比例復活)した鳩山紀一郎議員が現代貨幣理論(MMT)に肯定的なポストをしていたが、この程度であれば許容範囲内ではないか。

国民民主党の所得減税について財源を問う声がありますが、最も論理的かつ包括的な回答は、以下だと思います。

◎財政の制約はインフレのみなので、インフレ動向次第で積極財政の余地も決まる

◎直近の日銀によれば、2025年度のCPI(インフレ率)は、コアもコアコアも、インフレ目標である2%を下回る見通しである

◎つまり、直近の日本には積極財政の余地が十分にあるということであり、減税などの積極財政が正当化される

◎なお、財政の制約はインフレのみである以上、本来的には、そもそも「財源」という言葉を使うことが不適当と言える

◎また、「財政の制約はインフレのみ」という考え方はMMT(現代貨幣理論)に基づいているが、このMMTについては、以下に注意すべきである

●一部の専門家や有識者は「MMTは実行不可能」と主張しているが、MMTは「政策」ではなく「理論」にすぎないので、「実行不可能」はおかしい

●一部の政治家・専門家・有識者は、MMTを非合理的に使って「とにかく財政支出を増やせば社会は豊かになる」という暴走的な主張をしているが、このような「積極財政万能主義」の主張は、インフレによる制約を明らかに軽視しているという観点で、誤っている

注意点を一つ挙げると、財政拡張(赤字拡大)余地としてインフレ率のみに着目するのは適当ではない。なぜなら、生産者は需要超過に対して値上げではなく数量制限や納期遅延で対応することもあり得るからである。

MMTは「財政金融政策を用いて物価安定と失業者ゼロを達成する」ための理論なので、真の制約は労働力であるといえる。政府が最低賃金で雇用するJob guarantee programの対象者がいなくなれば財政拡張は打ち止めとなる。

現在の日本は人口が減少しているにもかかわらず就業者は史上最多水準にあり、国内の供給余力が小さい⇒財政拡張によって埋めるべき需給ギャップが小さいことを示している。

総務省統計局「労働力調査」|季節調整値

要するに、財政拡張の余地はあることはあるが、過大な期待は禁物ということである。

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