台湾も超低出生率/日本の「高出生率」の背景

台湾の出生率

台湾の2019年の合計出生率(TFR)は1.05だった。2004年以降、辰年の2012年を除くと1.2を下回る超低水準が続いている。

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主因は晩婚化・非婚化である。1990年には20代後半の女の7割弱が既婚だったが、2019年には2割強に激減している。

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晩婚化・非婚化の主因は男女平等政策・男女共同参画である。

戦後、台湾経済発展の過程において、女性の果たした役割は大きく、重要な貢献を成していることがわかる。伝統や慣習といった台湾に個別要素の影響が考えられるが、それ以上に重要なのは、戦後の男女教育平等政策である。これによって台湾の女性は男性と同等の教育を受けてきた。その結果、職業にもよるが、女性の社会進出、就業が進み、起業家としても積極的に活動を行うようになった。現在、各界のリーダーとして活躍している女性の人数はさらに増えており、台湾の女性たちにとって「男性と対等に働く」ことは、いまや当たり前のことなのだ。

数年前に、とあるシンポジウムで台湾から来た学者(女)が男女平等政策について誇らしげに発表していたので、「副作用の少子化をどう考えるのか」と質問したら、「北欧を見ればわかるように、男女平等はむしろ出生率を高める」と怒ったように答えたが、そうではないことは、その後の台湾と北欧が示している。

出生減少が止まらない韓国

フェミニズム大国の韓国も、1-3月の出生数は前年同期比-11%で、2019年4月~2020年3月の1年間では30万人を割り込んでしまった。

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ルサンチマンの思想のフェミニズムが韓国独特の「恨」と融合→「反日」と同じ構図で男女対立が激化→非婚化・少子化という展開である。

日本の「高出生率」は監視の緩さによるもの?

この番組(⇩)で、聞き手の道傳キャスターがtech-surveillanceを駆使して感染の封じ込めに成功した国として韓国や台湾、シンガポールなどを挙げていたが、これらの国々に共通するのが超低出生率である。

2019年のTFRは韓国0.92、シンガポール1.14(中国系とインド系は0.99)、香港1.05と世界最低水準である(⇔学力は世界最高水準)。アメリカでも、アジア系は低出生率&高学力が特徴である。

エマニュエル・トッドはこのように分析していたが、成功した国々はこの対極にあると言える。

命とか命を生み出すものは、無秩序、だらしなさ、ルーズさなのです。それが必要です。
もっと社会の秩序を緩くして、子供をつくる。お行儀が悪くなることをよしとしなければなりません。

一方、日本の感染対策は「生ぬるい」ものの、TFRは約1.4と高い。

ハラリやモロゾフは"solutionism"の危険性に警鐘を鳴らしているが、少子化を促進することも「危険」の一つとして考慮する必要がありそうである。

死を最小化しようとする取り組みが生を最小化する。

概してコロナ禍は高齢者の死期を早めたと言えます。ところで、重度の英米仏は適度な出生率を維持しています。一方で、軽度の日独韓中の出生率の低さは深刻です。長期的視野に立てば、コロナ禍ではなく、少子高齢化・人口減少こそが真に重大な国家的問題です。

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