ルーブルと通貨価値

ルーブルの為替レートの推移は通貨価値を考える格好の材料と言える(グラフは4/26まで)。

画像1
画像4

通貨価値とは購買力(→交換比率)であり、対内的には物価、対外的には名目為替レートで数値化されるが、何よりも通貨と交換する物資の存在が大前提になる。

しかし、一片の紙にすぎない軍票の価値を維持してゆくのは、容易なことではなかった。一方では、物資の取引売買に軍票建を強制し、軍票売りでなければ営業を許可しない方針など、軍票使用の強制を強化するとともに、裏付としての物資をなんとか算段して行かなければならなかった。

以上のように各種各様の軍票価値維持策が強力に取られたが、しかも結局においてその最大の支柱となったのは物資による裏付であった。その重要性は、たとえば当初日本から物資輸送の船が着けば、軍票相場が上り、船が遠ざかればたちまち戻してしまったことによっても知ることができる。軍票の上に「此票一到即正面所開日本通貨」といくら記されていても、それで物が買えなければ一片の紙にすぎないからである。

大蔵省『昭和財政史』(戦前編)第4巻 臨時軍事費

藩札の信用は、形式的には幕府貨幣との兌換の保証によって保たれることになっていたが、藩札が実際に信用されている地域においては藩札が単一通貨となっており、兌換が日常的に行われていたわけではない。藩札の信用は、実際には、商取引の裏付けを持つ証券であるか否かによって決まっていたのである。

貨幣と空間、そして時間―藩札の形成、流通、銷却:故作道洋太郎名誉教授遺贈資料より―

輸出するガス代金の決済のルーブル建てにする

ルーブルが商取引の裏付けを持つ

①購買力が保証される
②通貨の安定的な需要が生まれる

通貨価値が安定する

というわけである。

一般的には、政府と中央銀行が物価を安定させる(インフレ率を適正水準以下に抑える)ことで通貨価値への信認が得られる。新左翼系の一学派が主張する「自国通貨での納税を義務付ければ通貨価値への信認が生まれる」というものではない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?