高井議員が財務省に質問すべき内容

高井崇志衆議院議員(会派:国民民主党・無所属クラブ)の求めに応じてアドバイスしてみる。

高井議員の根本的な誤りがこれ👇である。日本国政府に通貨発行権があることは、日本国債が「借金」ではないことを意味しない。国債は国が資金調達のために発行する債務証券なのだから明明白白な「借金」である。高井議員と宇波主計局次長の議論がかみ合わないのは、この根本認識が誤っているからである。

通貨発行権のある国(政府)の負債は「借金」ではない。

高井議員が財務省に明確にさせるべきポイントは、借入金利を上昇させるリスクが国と民間では異なる点である。

債務者が民間の場合は、借入額の増大は債務不履行のリスク(信用リスク)を高めるので借入金利も上昇する。しかし、国は

①途絶えない収入(←徴税権)があるので利払いが滞るリスクがゼロ同然
②利払いが確実なら償還される国債は借り換えが可能

なので、国債残高が増えても信用リスクの上昇には直結しない。(奥の手として中央銀行の国債の直接引き受け、国の通貨発行権の行使もある。)

国と民間では資金調達額とその影響も大きく異なる。個々の民間企業や個人の借入額は国全体の経済規模と比べると微々たるものなので「借入→支出」がインフレ率や金利に及ぼす影響は無視できるが、国の借入額・支出額は桁違いに大きいので無視できない。国には信用リスクは無い代わりに「借入→支出」によってインフレを昂進させてしまうリスクがあるわけである。

宇波主計局次長はこのように答弁しているが、高井議員は金利を上昇させるリスクが信用リスクなのかインフレリスクなのかを答えさせればよかった。

宇波「財政状況が厳しい中で日本国債が円滑に市場で購入されるのは、日本の財政運営に対する信認が前提となっている。その観点から自国通貨建て国債であっても、その債務の持続可能性に対する市場の信認を失う事態が発生すれば、金利の上昇などを通じて、市場から資金調達が困難になる可能性は否定できない」

信用リスクなら財務省が徴税力の低下、つまり自分たちの能力不足を認めていることになる。インフレリスクなら財務省が市場を無視している、つまり市場参加者の総意よりも自分たちのインフレ予測能力が上と認識していることになる。後者なら、その自信の根拠を示させればよいのである。

付記

高井議員は「日本は20年以上デフレ」と言っているがそうではない。

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インフレ率が上昇すればまず日本銀行が金融引き締めで対応する。高井議員は金融政策の存在を失念している。

高井「債務の持続可能性に対する市場の信認があるかどうかのメルクマールがインフレ率だ。インフレ率2%になるまで国債を発行し続けても何も問題がないと考えるがどうか」
高井「『インフレ率2%になったら国債発行はやめる』というトリガー条項を法律で定めてはどうか」


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