ネットde真実の国会議員

現職と元職の衆議院議員がネット論客(その同類を含む)から金融経済を学んでいるのは困ったことである。

「日本経済が成長してこなかった」は事実ではない。にもかかわらず成長が感じられないのは、①人口減少と高齢化(→国内投資の減少)、②大企業のグローバル経営の深化(→投資の国外流出)、③大企業の株主重視経営への転換(→投資の国外流出&賃金抑制)が主な理由である。これらは財政支出を増やしても解決できない。

議員に必要なのが信用できる人を見分ける目利きの能力だが、ネット論客の素人と本物の「先生」の見分けもつかないようではどうしようもない。

これは「いい質問」なので簡単に解説する。

市中銀行は預金通貨を発行して貸し出す"creator of money"である。資産(債権)が貸出金、負債(債務)が預金になる。貸出金が資産なのは、借り手の将来の返済キャッシュフローがあるためで、売掛金が資産になるのと同じことである。

資産の流動化では、その資産が生み出すキャッシュフローを裏付けとする有価証券(ABS)を発行するが、ABSの代わりに通貨そのものを発行するのが銀行の貸出である。「無から有を生む」は、銀行は裏付けとなる資産無しに通貨を発行しているという意味ではない。

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