財政支出拡大の効果が限定的になる理由

雇用の量は多いが質が低い(≒低賃金)理由について、この記事では触れられていない点を指摘する。

かぎりなく完全雇用に近づいている日本の今後の課題は、雇用の量ではなく雇用の質です。賃金をいかに上げるかです。

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時間当たり雇用者報酬が平均以上の業種から建設業と製造業、平均以下の業種から宿泊・飲食サービス業、保健衛生・社会事業、その他のサービスを選び、前者をA、後者をBとグループ化して比較する。

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経済全体で実質賃金が継続的に上がるためには、技術進歩や資本装備率の上昇によって労働生産性が上がるprogressiveセクターが成長して賃金上昇を牽引する必要があるが、建設業は公共投資の大幅削減、製造業は海外生産シフトと競争力低下(特に電機・半導体)によって国内総生産が減少したため、労働集約的なstagnantセクターには賃金上昇が波及せず、全体として停滞することになった。

製造業の海外流出は、諸外国の経済成長とグローバル経営の深化によるものなので、消費税減税や財政支出増加では反転できない。アトキンソンに反発して「財政支出を拡大すれば日本経済は1980年代の成長率を回復できる」と主張する人々は、日本と世界のファンダメンタルズが不可逆的に変化したことを理解していない。

従って、結論としてはこの👇ようにならざるを得ない。

言うまでもなく、この問題は政府がただ単に景気対策のためのバラマキを行っても解決できません。需要が増えたからといって、絶対に労働生産性の向上が起こるという保証はないのです。

「仰天するようなコメント」の幾つかについては後日の記事で取り上げる予定。

菅政権が終了するタイミングに合わせて、Twitterを始めました。発信を始めたところ、国会議員なども含めて、仰天するようなコメントを多数いただき驚きました。

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