反緊縮議員の妄言

選挙区から放逐された安藤議員がまた妄言をツイートしている。

特別会計の年金は、保険料収入と積立金(過去の保険料収入の一部)の取り崩しを給付の財源にしている。

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保険料は醵出者にとっては取り上げられるものだが、国庫を経由して受給者に支払われるので、家計部門全体では「取り上げ」になっていない。税や保険料は民間部門の所得を分配する手段であり、本質を勘違いしているのは安藤議員である。

「税は財源ではない」論者は、徴税によって通貨は消滅するとしているが、過去の保険料収入の一部は積立金となってGPIFで運用されている。徴税では中央銀行の内部で民間銀行の当座預金が政府預金口座に移るだけで、合計額は変わらない。昔であれば、現金の保有者が納税者から政府に変わるだけで、消えてなくなるわけではない。

「税は財源ではない」という妄言は、現金通貨と日本銀行当座預金が軍票と同じものだという誤認から生じている。しかし、現在の世界標準の通貨制度では、政府は通貨のissuerではなく、民間と同様に通貨を調達して支出に充てるuserになっている。

筆者がこの説明から理解したことは、MMT理論が想定しているのは、中央銀行の関与しない通貨発行で、それは軍票の発行と同じと考えれば分かりやすいということであった。
しかしながら、戦争が終わって軍票を発行し続ける国はない。平時においては、中央銀行がその受け入れる金融資産見合いで通貨を発行し安定的な金融政策を行うというのが、歴史上確立されてきた仕組みである。とすれば、中央銀行にその役割を期待しないMMT理論は、平時における理論としては無理があるといえよう。

政府には民間部門から強制的に集金する権能(徴税権)がある→その債務証券は無リスク資産になる→中央銀行が通貨発行の見合いで受け入れる金融資産になるので、政府は債務証券を発行すれば中央銀行が発行する通貨を調達できるが、予想インフレ率を反映した利息を付けるか、インフレによる減価分を割り引く必要がある。従って、債務証券の発行は通貨発行と同じではない。

現行制度の論理構造を根本的に理解していないようでは、財務省と議論する土俵には立てない。

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