税金は政府の財源である

Modern Monetary Theoryに騙される人がいるのは、その言葉遊びあるいは詭弁が巧みなことに一因がある。

詭弁の典型が「税金は財源ではない」である。

MMTによれば、論理的に税金は政府の財源ではありえないし、国債も資金調達手段ではありえない。
A government that prints and borrows in its own currency cannot be forced to default, since it can always create money to pay creditors. New money can also pay for government spending; tax revenues are unnecessary.

政府は通貨発行してその通貨で民間に納税させるので、税収は政府支出の財源ではない、というロジックだが、現代の通貨システムでは、政府は歳出の財源としては通貨発行していない。

また、収入無しに支出する"spending first"は民間でも可能である。

アメリカの住宅バブルでは無一文(no income, no job and no assets)の人でも住宅が購入できるというNINJAローンが登場した。これは極端な例だが、日本でも年収600万円の公務員なら3000万円の住宅ローンを組んで住宅を購入できる。

この公務員の住宅購入の財源は借入金であって給与収入ではないが、このことは給与が住宅購入の財源ではないことを意味しない。借入金を返済する財源は給与であり、借入できたのも給与収入があるからである。

政府も同じで、ある時点の支出については「税収は財源ではない」と言うことは可能だが、長い目で見れば財源になっているのは税収である。政府が無リスク金利で借りられるのも確実な収入=税があるからである。MMTのロジックは言葉遊びに過ぎない。

現代の通貨システムにおける中央銀行は「銀行の銀行が政府の銀行を兼務している」ものだが、MMTでは「政府の銀行が銀行の銀行を兼務している」となっているところに根本的な問題があるように見える。これについては後日の記事で取り上げる予定である。

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