日英の成長率比較から見えるもの~生産性より労働分配率

今回は日英比較から日本経済の問題を見出す。

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日本だけ経済成長が止まっているようにミスリードするグラフで、1997年を起点にするとイギリスとは2倍以上の差がついている。

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1人当たり実質GDPの伸びはバブル崩壊後に減速したものの、2000年代に入るとイギリスと差がなくなっている。

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日本経済のパフォーマンスが際立って悪いように見えるのは主として人口増加率とインフレ率の差のためで、1人当たり実質では他の先進国と遜色ないペースで成長している

名目と実質の乖離は労働コストと生産性の伸び率の差に対応する。20年間の日英の生産性伸び率は同等だが、時給と単位労働コストは対照的である。

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生産性が向上しても賃上げしないので単位労働コストは低下する。これがデフレ圧の主因である。

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デフレが10年以上も続いた国が日本だけなのは、単位労働コストが低下した国が日本だけだからである。

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これらのデータから読み取れる日本経済の最大の問題は企業が賃上げしないこと(→労働分配率の低下)、D.アトキンソンが言うところの「企業の緊縮戦略」である。実質ベースでは成長しているのだが、賃金は上がらず、設備投資もボックス圏での循環にとどまり、内部資金の余剰は現預金と対外直接投資になって積み上がっている。

企業が緊縮戦略をとる理由については最近の記事で検証している。

付記

アフガニスタンはアラブらしい。

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