経済成長を志向しない経済学者

この記事について少々コメントする。

人口1人当たり実質GDPの伸びは、アメリカと比べても遜色がなく、生産年齢人口1人当たりではアメリカを凌いできた。
そうした事実が記された文章として、次のようなものがある。
日本の1 人当たりGDP の伸びは、他の先進諸国と比べて遜色のない伸びを示してきた。(「社会保障と国民経済――序章 医療政策会議における基本認識」日本医師会・医療政策会議報告書<2018年4月>)

この(⇧)執筆者は権丈本人である。

生産年齢人口1人当たり実質GDPの伸び率が高い主因は、女の労働力化によって就業率が大幅に上昇したためである。総人口は減っても就業者数はむしろ増えている。

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分配が問題であることはその通りだが、成長に関して楽観的過ぎる。

1 人当たり生産性は伸びているのに賃金が伸びない。問題は、労働分配率の低下傾向、さらには、所得分配の格差のあり方にあることは言うまでもない。つまり、この国の経済が抱えているのは、「成長」問題よりも、「分配」問題なのである。

就業者1人当たり実質GDPの伸び率はゼロ近くにまで低下している。

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こちらは伸び率が見えるように対数化したものだが、安倍政権になってからむしろ低下していることが見て取れる(赤マーカーは2013年Q1)。

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安倍政権下の経済成長とは働く女・高齢者・外人が増えたことによるものということだが、就業率上昇には限界があるので、このままでは国民の多くが貧乏暇なしになってしまう。

結局、知識をひけらかすだけで何を訴えたいのかよくわからない記事であった。

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