信用創造と言うより「信用貨幣の創造」

「マネタリーベース(現金)を裏打ちとしない信用創造」とは何のことなのか意味不明である。講師の片方も素人に毛の生えた程度であり、与党議員がこのような低レベルな議論をしていることには呆れてしまう。

ひとことで言うと、両講師が「伝統的な経済学はいまだ、信用創造の意味が分かっていない」という指摘をされ、全体の議論が、マネタリーベース(現金)を裏打ちとしない信用創造を続けるべきだいう基調で進み、そこに、参加議員のうち大蔵省の理財局長を経験された元閣僚が「実際に、国債が市場でさばけなかった経験がある。国債を無限に発行するなど危ない」という問題提起をされ、安倍さんを交えた論戦になりました。

「信用創造の意味が分かっていない」も言い過ぎだが、おそらく「信用創造」という言葉が理解を難しくしていて、「信用貨幣の創造」の方が適切ではないかと思われる。

信用貨幣とは借り手の将来の返済キャッシュフローの現在価値相当として貸し手の銀行が創造(発行)するもので、借り手は銀行から供与された貨幣を第三者への支払に使える。銀行が取得した資産(貸出債権や有価証券等)を「流動化」したものが信用貨幣だとも言える。

この原理がわかれば、銀行の貸出(⇔信用貨幣の創造)に必要なのは貸し出す元手ではなく、借り手の将来の元利返済とその原資となる収入であることもわかるはずである。

From an economic viewpoint, commercial banks create private money by transforming an illiquid asset (the borrower’s future ability to repay) into a liquid one (bank deposits); they would quickly be insolvent otherwise.
こうした様々な主体の中で決済性預金口座というものを提供している銀行だけが、その与信行動により、自ら貸出と預金を同時に創り出すことができるわけであります。
私が例えばノンバンクに行って金を借りるときには、ノンバンクはどちらかで調達してその金を私に貸してくれるわけですけれども、銀行は私に金を貸すときには私の預金口座に記帳すると、で、後から預金が発生するという格好になります。これを信用創造と言っておるわけでありますけれども、この点で銀行はノンバンクなど他の金融機関とは異なる機能を持っているというふうに理解しております。
このことは金融関係者にとっては議論の余地のない「当たり前の実務」にすぎないんです。実際、以前、日銀マンとお話したときに、「中野くんさぁ、君の本には得意気に信用創造について書かれているけど、あれは我々にとっては当たり前のことだよ」と苦笑いされたことがありますよ(笑)。

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