日本のジェンダーギャップランキングが低い理由(あるいは北欧や一部の独裁的な国が高い理由)
その理由を先に書くと、日本が政府が強権的ではない自由で平和な国だから(新型コロナウイルス流行時にも日本政府は強権発動しなかった)。逆に、北欧や一部の独裁的な国が高いのは、女のリーダー、マネージャーが増えるように政府が介入する管理・強権支配国家だから。
2024年のGGGIの146か国のスコアは👇の通り(赤が日本で0.663/118位)。
GGGIは以下の4つのサブ指数を単純平均したものだが、教育と保健ではほとんど差が付かないので、経済と政治でほぼ決まることになる。
経済は5つの指標から算出したスコアを加重平均したもの([]内はウェイト)だが、日本は管理職等の女の少なさが足を引っ張っている。
Labour-force participation rate [0.199]
Wage equality for similar work[0.310]
Estimated earned income[0.221]
Legislators, senior officials and managers[0.149]
Professional and technical workers[0.121]
政治は3つの指標から算出したスコアを加重平均したものだが、日本は衆議院議員も大臣も女は少なく、過去50年間に内閣総理大臣はいなかったので、必然的にランクは低くなる。
Women in parliament[0.310]
Women in ministerial positions[0.247]
Years with female head of state (last 50)[0.443]
では政官財のリーダー、マネージャーに女が多い国はなぜそうなっているのかといえば、クォータなど政府が介入しているケースが多い。代表的なのが北欧をはじめとする西洋諸国だが、近年では中南米やアフリカにも広がっている。
西洋諸国では「男女平等」という宗教的情熱が推進力となっているが、中南米やアフリカでは、独裁的な指導者が強力な政敵(多くの場合は男)の台頭を防ぐために女を登用するというケースが見られる。これには西洋諸国に好意的に評価されるという利点もある。
👇はニカラグアだが、オルテガ大統領の「強力なリーダーシップ」とは独裁色の婉曲表現とも言える。なお、2017年からは大統領の妻が副大統領になっている。
人間集団が巨大化・複雑化するほど、リーダー、マネージャーからは女が減っていくのが人類普遍の法則なので、それに逆行して女と男のパリティを実現するためには、上からの強権的介入か、合理性を超えた宗教的情熱が必要になる。日本はそのどちらもない国だったので、女に対するシステミックな差別が解消された今日でもGGGIのランキングは低くなるわけである。
そもそも論だが、ナイジェリア(0.650/125位)やサウジアラビア(0.647/126位)とほぼ同じスコアになる指数を「女に対するシステミックな差別を数値化したもの」として真面目に受け止める必要は全くない(というよりしてはいけない)。
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