MMTとTMT

無料部分しか読んでいないが、大塚議員の現代貨幣理論(MMT)の理解は正しくない。

これ👇はMMT派を騙る日本の一部の論者が言っているだけで本家本元のMMTとは関係ない。

第一は、国は負債だけではなく資産も有しており、純資産(資産マイナス負債)で考えることが必要と主張する。

MMTでは政府の支出はそれに合わせた中央銀行の通貨発行で賄われているとされる(⇔納税された通貨は中央銀行が消却する)。国債は財源の調達手段ではなく、市中から余剰の通貨を吸収するツールである。

第二は、日銀が国債を買い続けることができる(事実上の引き受けができる)ため、政府は日銀に紙幣を印刷させれば財政は回り続けるという論拠だ。

財政赤字(通貨の市中への注入量-市中からの回収量)の拡大は市中の通貨量を増やすので金利は下がる。従って、日本銀行が国債を買い続けなくても財政は回り続ける。

MMTでは利下げがインフレ抑制、利上げがインフレ促進策になる。

TMT派はこれ👇がおかしい。

第二に、日銀が国債を買い続けることはできないと主張する。日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール)と称して長期金利を政策的に低位固定化せざるを得なくなっていることが、市場の国債消化能力が限界に達しつつあることの証左と指摘している。

徴税権を持つ政府の信用リスクは国債残高にかかわらずゼロとみなせるので、日銀が2016年9月から続けるYCCを止めたとしても、日本経済のインフレ率や名目成長率が急上昇しない限りは国債金利が暴騰するリスクはゼロに等しい。10年国債をYCCの誘導水準0%で市場に消化してもらうことはできなくなるが、低利調達は依然可能である。

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MMTの根本的欠陥は「政府の支出はそれに合わせた中央銀行の通貨発行で賄われている」が事実ではないことなのだが、批判者がそこを指摘しないために、騙される人が後を絶たない。

中央銀行の通貨は市中銀行に有担保(適格担保)で貸すか、資産の買い取りによって発行される(→裏付けとなる資産が必要なので無からは発行されない)。政府はそれらの通貨を徴税または借入によって調達して支出に充てるので、Keltonのツイートにある"self-financing"ではない。財政支出を賄うための中央銀行の通貨発行(monetary financing)は原則禁止されている。

MMTの政策目標が「失業・不完全雇用ゼロの公正な社会の実現」なのは、マルクス主義→新左翼系の経済思想に基づいているから。

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