女の自殺者急増の原因は経済苦ではなくWerther効果では?

女の自殺者急増を性差別からくる経済苦が原因とする報道が多い。

最近の女性の自殺者の急増は、この国特有の悲劇的な問題といえる。
日本はこの8年間、“基礎疾患”ではなく染み付いた性差別という“症状”の治療を行うという過ちを犯してきた。
菅新首相が、女性の自殺者の急増に目を向けてくれることを願いたい。そして、治癒が困難な家父長制とデフレという日本の既往症が、いかに予測不可能かつ危険な形で、新型コロナウイルスがもたらした混乱と融合しつつあるかについても──。

しかし、断定するにはまだ早い。なお、当記事は性差別説にチャレンジするバイアスがかかっていることを断っておく。

自殺が減り始めた2010年以降では、2011年に女の自殺が一時的に増えている。

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急増したのは5月で、変化は女の方が大きく減衰時間も長い。

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当時の分析がこちら(⇩)。

内閣府参与でNPO法人自殺対策支援センター・ライフリンク代表の清水康之さんによると、タレントの自殺報道翌日の5月13日からの変化が著しかった。タレントとは、「貧乏アイドル」として活動後に24歳の若さで亡くなった上原美優さんのことだ。
2011年に入ってからは、1日平均82人の自殺者が出ていた。それが、5月13日にはいきなり140人に跳ね上がり、その後の1週間も1日平均124人にまで達していた。その中身を見ると、大都市圏の20~30代が半数以上を占め、しかも、女性が多かった。
清水さんは、ツイッターでこの日、「センセーショナルな自殺報道が、表面張力のようにしてやっとのことで『生きること』に留まっていた若年女性たちの背中を押してしまった」との見立てを披露した。

上田路子「著名人の自殺に関する報道が自殺者数に与える影響:警察庁の自殺統計を用いた分析」によると(⇩)、日本では芸能人の自殺のWerther効果は男よりも女に強く働く。

芸能人などの著名人の自殺に関する報道の後に自殺者数が増加する現象は「ウェルテル効果」と呼ばれ、各国でその存在が確認されている。
自殺者の年齢グループ別に分析を行った結果、海外における研究では若者が自殺報道を受けて模倣行為に走ると言われてきたが、本研究ではむしろ中高年の自殺者数のほうが報道後に増加するという結果が得られた。また、職業別分析によって、自営業者、被雇用者、そして無職者(なかでも年金・雇用保険等生活者)の自殺者数が自殺報道後に増加する傾向にあることが明らかになった。さらに、著名人のタイプ(職業グループ)別に分析を行ったところ、政治家と芸能人の自殺に関する報道の影響が大きく、また影響を受ける傾向の強いグループも著名人のタイプによってかなり異なることが明らかになった。例えば、政治家の自殺が報じられた後には「被雇用者・勤め人」や 60代の自殺者数が増える一方、芸能人の自殺報道の後には、40代、50代の主婦や年金・雇用保険等生活者の自殺者数が増加する傾向が確認された。

当時は3月11日の東日本大震災後の混乱が続き、福島第一原子力発電所事故による放射能汚染を心配して神経質になる人も少なくなかった。強いストレスが続いて心が折れやすくなっていた人が増えていたことが、Werther効果を強めたとも考えられる。

今年は7月から女の自殺が急増して10月が特に多いが、このタイミングは三浦春馬と竹内結子と関係しているのではないかと推測される。

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芸能界で自殺が相次いでいる。5月23日に、恋愛リアリティショー番組『テラスハウス』(フジテレビ系)に出演していた、プロレスラーの木村花さん(享年22)が自殺した。
続いて、鷹野日南さん(享年20)が7月10日に、三浦春馬さん(享年30)が7月18日に、芦名星さん(享年36)が9月14日に、藤木孝さん(享年80)が9月20日に自殺した。中でも世間に衝撃を与えたのが、国民的女優の1人であった竹内結子さん(享年40)までもが、9月27日に自殺したことだ。

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以上から、2011年5月~と今年7月~の自殺には「放射線兵器」「生物兵器」を恐れて病的な不安になっていた人が芸能人の自殺に影響されたケースが多く含まれるのではないかと推測される。女が多いことは

放射能とコロナウィルスに対する恐怖は女>男
芸能人の自殺のWerther効果も女>男

で説明できる。治癒が困難な家父長制(→経済的打撃が女に集中、男から女へのDV増加、等々)原因説よりも説得力があると思われるがどうだろうか。

女の自殺が増えたとは言え、7~11月計の男/女比は1.76倍で依然として男の方が圧倒的に多い。女の自殺急増を「女への公的支援がもっと必要な証拠」と、フェミ利権拡大のショックドクトリンに悪用するフェミニストには要警戒である。

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参考文献

上田路子(2015)「著名人の自殺に関する報道が自殺者数に与える影響:警察庁の自殺統計を用いた分析」ESRI Discussion Paper Series No.317

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