矢野財務次官の正論

これに関しては、岸田首相ではなく矢野財務次官に軍配が上がる。

新型コロナの経済対策をめぐっては、財務省の矢野次官が、「バラマキ合戦の政策論」などと異論を唱える記事を寄稿しているが、岸田首相は、「いろいろな意見は当然あっていい」とする一方で、「いったん方向が決まったならば、しっかりと協力してもらわなければならない」と述べた。

現金給付を求める(単純な)人々は、日本経済は深刻な不況にあり、困窮者が大量発生していると思い込んでいるのだろうが、それは「日本は20~30年間デフレが続いている」と同様の事実誤認である。

実際には失業や収入激減に見舞われた人は一部のセクターに限られ、家計部門は低所得層まで消費減+給付金→貯蓄増になっている(これは矢野次官も指摘)。

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基準年を20105年にするとよくわかる。

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消費支出を支出弾力性が1未満の基礎的支出と1以上の選択的支出に二分すると、減っているのは選択的支出であることもわかる。

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現金給付派は「再度全国民に給付金を配っても財政破綻のリスクは高まらないのだから、つべこべ言わずに国債発行してばら撒け」と主張するが、その理屈なら、富裕層向け減税や不良外人への公金ばら撒きも否定できなくなる。支出枠に余裕がありばら撒きが可能であることは、ばら撒きが望ましいことを意味しない。

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