日本の物価が上がりにくい構造的要因

日本の物価が上がりにくくなった構造的要因を三つ取り上げる。

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一つ目は他の先進国にも共通するグローバル化である。

各国は相互貿易によってより豊かになることを求め、それによって賃金が下がり、結果的に物の値段が抑制されてきた。生産国のサプライチェーンは、変化することはあるだろうが、互いの成長のための貿易は今後も続く。

2000年前後にバブルの負の遺産の債務・設備・雇用の「三つの過剰」をようやく解消した日本の大企業は、収益力を高めるためにグローバル化を推し進めた。

大企業をはじめとした企業の各経営者は、彼らにとってのグローバル化の重要性をすばやく理解した。すなわち、中国、アメリカ、そして現在ではヨーロッパにおいて、直接投資が増加したということである。世界第二位の経済大国である日本は、市場を求めて、あるいは、自国に欠けている製品やテクノロジーを求めて、経済の開放という切り札を用いたのである。

2002年1月~2008年2月の戦後最長の景気拡大期が「実感なき好景気」だったのは、外需主導の成長が家計に波及しない構造になっていたためである。

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二つ目は、小黒が指摘する「政府による価格統制」である。

「成長産業」の医療・福祉の公定価格の抑制は、直接・間接的に物価全体を上がりにくくする。

三つめが人口減少が家賃に及ぼす影響である。人口減少は家賃にとってはマイナス要因であり、消費者物価指数のウェイトも0.1782と大きいので、物価全体を上がりにくくする。

これらの構造的要因を無視して、日本銀行の🐷積み不足がデフレ・ディスインフレの原因だと誤認したことがリフレ派の失敗である。

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