アベノミクスは半分成功?

安倍首相(当時)は政権発足から約1年後に日本アカデメイアにおけるスピーチで

大企業の業績回復の果実が、国内の中小・小規模企業、そして、その従業員の皆さんに、行き渡らないようであれば、アベノミクスは失敗であると、私は考えています。

と述べていた。

企業業績の回復の果実の大部分は株主還元と内部留保(主に現預金と対外直接投資)に回されて従業員には行き渡らなかったので、アベノミクスは失敗ということになるが、中小・小規模企業までは行き渡ったのかを確認する。

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資本金の額によって4分類して売上高利益率を比較すると、4つともバブル崩壊後に低迷した後、2002年1月~2008年2月の景気拡大期における回復に大きな差が生じた。資本金1億円以上はバブル期のピークを超えたが1億円未満は超えられず、特に1千万円未満の回復は微々たるものにとどまった。

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しかし、2012年11月~2018年10月の景気拡大期には、資本金1千万円以下の利益率も急上昇してバブル期超えを達成した。

2000年前後の企業部門の構造改革を経て、業績拡大の果実が大企業に集中する傾向が強まっているが、ようやく中小・小規模企業にトリクルダウンしたのがアベノミクス期だった。その意味では、アベノミクスは半分は成功したとも言える。

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もっとも、半分成功が政府・日銀の政策によるものか、あるいは外的要因によるものかについては議論の余地がある。

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