MMTと極左

アメリカで左右の過激派が暴れているようなので、この機会に昨年の記事で取り上げたMMTと極左の関係について再確認する。

ミッチェルはanti-fascismを掲げる学生団体の「ファシストに協力した」との批判はナンセンスと否定したものの、progressiveの一員として、南京大虐殺や慰安婦(=性奴隷)を否定する歴史修正主義者との関係を断つと宣言していた。

The allegations are that the Professor who invited Stephanie Kelton to do some lectures in Japan, is a member of the far- or ultra-Nationalist Right, and this proves that MMT economists are giving succour to these extreme, anti-progressive views.
Who are the progressive enemies here?
But, as I noted above, I will not engage with people who, for example, deny that major shocking historical events occurred, in order to avoid learning from the mistakes our forbears made.

日本では中野剛志が『富国と強兵』で紹介したことから広まったために、MMTがマルクス主義→新左翼の系譜に連なるイデオロギーであることがほとんど知られていないが、中央銀行から独立性を奪うと共に、市場による財政規律の統制を否定するなど、「マネー権力」の国家独占を主張する統制色の濃い思想である。

財務省を敵視する人は、財務省の財政再建路線のロジックを否定してくれるMMTを「正義の味方」と思っているのだろうが、敵の敵が味方とは限らないことは歴史が教えている。

MMTは「実務の記述」であることを強調するが、それが本当なら、中央銀行や財務当局、市場関係者が「イデオロギーや政策提言は別にすると、事実関係は正しい」と言うはずである。そのような声が全く聞こえてこないことの意味を考えた方がよい。「専門家・専門知・プロにたいする蔑視」は反知性主義の特徴である。

…, what MMT does is describe how a government that issues its own currency actually spends, taxes and sells bonds as a matter of course. In doing so, the theory demonstrates that a government like that of the U.S. does not, in fact, face financial constraints.
Again, this analysis is descriptive: It simply explains how the government operates and how the newly appropriated $2.1 trillion will be spent.

日本やアメリカの政府が(現時点では)財政制約を気にする必要がないことは常識の範囲内で説明可能なので、MMTが正しい論拠にはならない。

最近では本家MMT信奉者と我流MMT信者が揉めているようだが、「正しさ」を巡って内ゲバを繰り広げるのも左派の特徴である。

この投票行動からもわかるように、多くのアメリカ人の若者たちは急進化しており、「社会主義」の方がいいと考えるようになっている。彼らこそ、「ジェネレーション・レフト」にふさわしい。多額のローンを背負って大学に行き、その後の雇用も安定せず、医療費なども膨大な格差社会に住むことに、若者たちが疑問を抱くようになっている。そしてなにより、気候変動が深刻化するなかで、若い世代は、資本主義の無限の利潤追求を問題視するようになり、別の社会システムへの大転換を要求するようになっているのである。

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