森永康平と中野剛志が現実離れしたストーリーで「税は財源ではない」ことを論証できたつもりになっているので、その欠陥を指摘する。
この設定を受け入れたとしても、国が通貨発行して物資や労働力を調達する(買う)のはしばらくの間だけで、市中に十分な量の通貨が行き渡れば、それ以降は「徴税して支出の財源にする」が常態になる。
設定を現実的にすると、現代の財政・通貨制度は銀行システムと不可分なので、中央銀行(現金通貨)と市中銀行(預金通貨)をストーリーに加える必要がある。
国は
中央銀行の与信(原則禁止)
市中銀行の与信(預金を中央銀行が現金化)
国民の銀行預金を徴税(預金を中央銀行が現金化)
など、徴税または借入で現金通貨を調達できるので、「まず政府がお金を発行していないと税を徴収できません」とはならない。
財源調達には借入(国債発行)という手段があるので、「国の施策には財源として税収が必須」ではないが、これは租税が財源ではないことを意味しない。