ゾンビと日本経済

ゾンビ企業とは、再建の見込みがないが、銀行の追い貸しや政府の補助金等によって存続している死に体の企業を意味する言葉である。

経済は人体と同じで、活力の維持には企業の新陳代謝が重要だが、ゾンビ企業を生かし続けることはその逆に新陳代謝を阻害して経済の老化の促進につながる。これが構造改革論者の「日本経済再生のためにはゾンビ企業に逝ってもらう必要がある」という主張の論拠である。ゾンビ企業につぎ込まれていたリソースをスタートアップ企業に振り向けて新陳代謝と活力を回復させるわけである。

ところで、経済を構成する「細胞」には企業の他に個人もある。そして、ゾンビ企業に相当するのが老人である。老化のために他者からの支援がなければ生存できない老人は経済的の意味ではゾンビ企業と変わりなく、そのことが大西つねきがれいわ新選組から除籍されることになった発言につながっている。

「命、選別しないと駄目だと思う。その選択が政治。選択するんであればもちろん高齢の方から逝ってもらうしかない」などと述べた。

ゾンビ企業が存続できるのは他の経済主体が支えていられる間だが、老人も支えてくれる現役世代の総力が低下すれば自然に逝ってしまうことになる。グラフは40年前・現在・40年後の各歳人口だが、現在と同じ綺麗ごとを40年後も言っていられるとは考えにくい。

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(この人口の大収縮が、低金利でも企業が国内投資を積極化させない根本原因。財政支出を拡大しても焼け石に水。)

人口バランスの崩れが既に日本経済の新陳代謝と成長力を低下させていることについては論証済み。

「老人はゾンビだから殺せ」と言っているわけではないので念のため。ゾンビという言葉に過剰反応しないように。


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