ドイツの出生率回復の実態

この記事にはドイツは「1歳以上のすべての子が保育を受ける権利を保障したほか、父親の育児休業の取得など両立支援に力を入れた」ことで近年の出生率(TFR)が1.5台を維持しているとあるが事実誤認である。

画像1

ドイツのTFRが上昇した要因の一つが、シリアなどドイツより出生率が高い国々からの人口の大量流入で、ドイツ国籍に限ると日本と大差がない。移民でもドイツ国籍を取得すればグラフの青線(⇩)に含まれることにも注意。

画像5

もう一つが、共産主義体制崩壊後の社会混乱で急落した旧東独地域の出生率の回復である。

1960年代末生まれコーホートの出生率が最も低いが、20代での出生率が削り取られたように不自然に凹んでいることが見て取れる。これは、肉体的には出産に適した20代と社会の混乱が重なったことで、出産機会を逸してしまったためである。

画像3

画像4

1975年生まれになると共産主義体制崩壊の影響は無くなっているので出生率は回復しているが、それでも1950年代生まれの水準には届いていない。

画像5

そもそも、コーホート出生率は最低でも1.5あったので、その水準までTFRが上昇することは「少子化対策が成功した」ことを意味しない。

一つ前の記事にも書いたが、少子化に関しては主要メディアは全く信用できないので注意されたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?