記者には見えなかった「世界でいちばん男女平等な国」
北欧諸国に行って「世界一の男女平等」に感心してしまう人は、昔なら共産主義国家に行って「人民の平等が実現した理想社会」と感銘を受けてしまったタイプのように思われる。
「世界でいちばん男女平等な国」 記者が見たアイスランド https://t.co/SlVd6DRyV3 #tbs #tbs_news #japan #news
— TBS NEWS (@tbs_news) December 5, 2021
アイスランドは世界経済フォーラムの男女格差ランキングで12年連続1位。156の国と地域の中で一番、男女平等が実現されている。日本はと言うと下から数えた方が早い120位。一体、何が違うのか。純粋日本育ちの男の自分の目で、その違いを取材したいと思った。
「一体、何が違うのか」だが、国の基礎的条件が全然違う。
人口:37万人(2/3弱は首都圏に集中)
面積:北海道の約1.3倍(大韓民国とほぼ同じ)
資源:水産物、エネルギー(水力発電と地熱)、水資源が豊富
就業者の内訳は男53%、女47%とほぼ半々だが、産業毎に大きな偏りがある。女の49%は公共サービス、教育、医療福祉に集中しており、同部門の72%を占める。
一方、男は建設業の94%、漁業の90%を占める。力がいる仕事や移動が多い仕事は男が多い(👇の左側は👆の色の薄い5つの合計)。
アイスランドの男女平等とは、公的部門が女を安全で安定した仕事で雇うことで達成されている(北欧諸国に共通する構造)。
平均通勤時間が15分と職住近接なことも、共働きを容易にしている。
Average commuting time in the EU in 2019: 25 minutes
— EU_Eurostat (@EU_Eurostat) October 21, 2020
Longest in:
🇱🇻 Latvia (33 minutes), 🇭🇺 Hungary & 🇱🇺 Luxembourg (29 minutes)
Shortest in:
🇨🇾 Cyprus (19 minutes), 🇬🇷 Greece (20 minutes), 🇮🇹 Italy & 🇵🇹 Portugal (21 minutes)#StatisticsExplained
➡️ https://t.co/yDhLDtM408 pic.twitter.com/iQclq0wOuy
これ👇も、女が少ない産業では平等ではなく女の優遇/男に対するnegative actionになっている。
アイスランドでは2010年、従業員50人以上の企業の役員比率について、男女それぞれ4割以上というクオータ制をとることが法律で定められた。現在、上級管理職の42%、取締役の45.9%を女性が占めている。
女が多い職種が低賃金なのは低生産性と低リスクの反映であり、解決しなければならない課題ではない。
女性が行うことが多い保育士や看護師などの職種は、男性が就くことの多い建設作業員や配管工などの職種に比べて、低賃金の傾向とされる。これは日本と共通の課題に思える。
この男女差を公的介入によって埋めれば、いずれは失敗することはほぼ確実である。
アイスランドは天然資源に恵まれた豊かな国であり、その豊かさでコストのかかる「男女平等」を実現しているだけと言ってもよい。
北欧諸国のジェンダー平等イデオロギーが共産主義と似通っているのは、資本家→男、労働者→女に置き換えた社会革命のイデオロギーだからである。
「そのメッセージは、丹念な論理の運びと豊富なデータの裏付けによって、私や多くの読者に納得できるものになっている。」
— ALL REVIEWS (@allreviewsjp) August 25, 2017
家父長制と資本制―マルクス主義フェミニズムの地平(岩波書店) - 著者:上野千鶴子 - 橋爪大三郎による書評 https://t.co/du8PoLHK9b
【EU消滅の引き金は「知識人たちの錯覚」である】 ブレグジット予言者による「国民国家」復活論 : https://t.co/J9pOrNCy6N #東洋経済オンライン pic.twitter.com/cmpBCyVcJl
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) May 6, 2017
彼らが自分の見たいものだけを見ているということだろう。
このような集団錯覚の傾向は、知識人の間でかねて顕著だった。
20世紀前半には数えきれないほどの欧州の知識人が、共産主義に心を奪われ、ソ連を熱烈に支持したものだ。
1920年代にこうした支持者の代表団がソ連を訪問し、目にしたものに感銘を受けている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?