賃金の格差と上昇率

結論部で賃金格差の話が賃金上昇率の話にすり替わっている。

小規模企業や対人サービス業の賃金が低くなるのは、生産性(1人あたりの付加価値)が低いからだ。そして、生産性が低いのは、資本装備率が低いからだ。
もし労働への分配率の違いが賃金格差の原因であれば、企業に賃上げを要請したり、税制によって賃上げを促したりする政策が賃金を引き上げるかもしれない。しかし生産性が低いのが原因であれば、こうした施策は意味がない。

大企業と中小企業の生産性格差は今に始まったことではないので、賃金格差の説明にはなっても、賃金が停滞し続けることの説明としては不十分である。

ボーモルのコスト病」では、機械化や技術進歩が速いセクターでの労働生産性上昇が、労働生産性が停滞するセクターの賃金と価格を引き上げるとされる(技術革新セクターでの生産性上昇→同セクターの賃金上昇→技術停滞セクターの賃金上昇→同セクターの価格上昇)。

The consequence is that rising productivity in the manufacturing sector of the economy inevitably pushes up the cost of labor-intensive services like live musical performances. Rising productivity allows factories to cut prices and raise wages at the same time. But when wages rise, music venues have no alternative but to raise ticket prices to cover the higher costs.

この関係を大企業と中小企業に当てはめると、大企業の労働分配率の低下は中小企業の賃金上昇率を低下させることになる。

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2002年からの景気拡大期を境に、大企業の人件費と利益及び配当金の関係が劇的に変化したことは、中小企業の賃金停滞の一因の説明になる。それに加えて、値上げへの抵抗感が極端に強くなったことも、賃上げを妨げる要因となっている。


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