日本が「安い国」になった理由

反緊縮派に典型的な誤解。

デフレは20年以上も続いていない。デフレではないので、今一番やらなければならないことは「デフレ脱却」ではない。

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高井議員は外国との相対的な物価水準は為替レートに左右されることを失念している。1990年代に日本の物価が高かったのは、日本のインフレ率が他国よりも高かったからではなく、プラザ合意後のドル安とクリントン政権の円高誘導のためである。20年以上物価が変わらなくても、代わりに円高が進行していれば日本は「安い国」にはなっていない。

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高井議員は日本の物価が20年以上変わっていないことを「異常事態」と強調しているが、重要なのはその中身である。

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2011年3月2日の衆議院財務金融委員会で白川日本銀行総裁(当時)が述べた通りで、日本を「安い国」にした元凶は賃金上昇が止まったことである。

日本とアメリカのインフレ率の違いというものを過去十数年間分析してみますと、九割方が財ではなくてサービスでございます。
サービスの値段がなぜ下がっているかということ、もちろんいろいろな要因がございます。そのうちの一つの要因として、サービスというのは、これは御案内のとおり、労働集約的な活動が多いということで、賃金の影響を大きく受けるわけでございます。
日米で比較した場合に、あるいは欧州もそうでございますけれども、サービスの値段が日本は下がっている、その一つの理由として賃金が影響しているということを申し上げた次第でございます。

賃金上昇が止まる

サービス価格上昇が止まる

物価上昇が止まる

実質為替レートが大幅に減価
(名目為替レートは±20%のレンジで推移)

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賃金が上がりにくい構造を温存したまま物価を上昇させれば、実質賃金が低下して国民生活は窮乏化する。優先順位を間違えてはならない。

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