非婚化・少子化の根源と雪女の格差婚

2018年の出生数は91.8万人にまで減少したが、その主因は結婚の減少にある。

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これに関して、東京大学の赤川学は「女が下降婚しないからではなかろうか」と書いていたが、そんなことはこの問題に関心がある人の間では常識である。

今回は別の角度から、若者が結婚しにくくなっている理由を考えたい。
それは格差婚、すなわち女性が自分よりも学歴や収入など社会的地位の低い男性と結婚する傾向が少ないままだから、ではなかろうか。

その理由は簡単で、赤川がこのように書いたようにヒトの動物としての本性である。

筆者が昨年刊行した『これが答えだ!少子化問題』(ちくま新書)では、学歴下降婚の少なさには、女性自身の遺伝子を残す成功度合(包括適応度)を高める進化上の理由があるという可能性を示唆した(同書90頁)。

哺乳類は基本的に母乳を出す雌が子育てするようにできている。例外的に雄が子育てに参加する動物もいるが、役割は雌と子のサポートで、子育ての主役は雌である。

ヒトは直立二足歩行になったことから、未熟な状態で生まれた子を長期間手厚く育てるように進化した。そのため、パンダなどのように母親単独での子育てが困難になり、男を用心棒兼食料調達係として(性的サービスを対価に)雇い入れたと考えられている。これが男女分業の起源である。

下の動画の27:50~でJordan Petersonが説明するように、女は自分と子の用心棒兼食料調達係、つまりはサポート役の男を探すのであり、自分が養う男を探す女はいないのである(No woman wants to find a man she has to support.)。子育てする野生動物の雌が、穀潰しの雄を抱え込むはずがないことと同じである。George Michaelが"Everything She Wants"で歌ったのが女の本性である(岡目八目)。

ヒトの女が「優位な男性」を魅力的に感じ、男よりも配偶者選択で選り好みするのも、優れたサポート役を求める本性のためである。

女性は配偶者選択では男性よりも選り好みをする。これは第一には、女性の場合には、配偶相手がたくさんいても、その分だけ増えるわけではないからである。それに、女性は「優位な男性」を魅力的に感じる。生殖能力が高そうなだけでなく、自分を守ってくれそうな男性を求める。これこそ、なぜ女性が力(富や権力)を顕示する年上の男性を好むことが多いのかの理由である。
カール・グラマーは、それまでに行われた配偶者選択に関する社会科学的研究を検討した。主要な結論のうちのひとつは、配偶相手の評価の際に女性のほうが男性よりも多くの指標を用いているということである。男性がおもに考慮するのは身体的魅力であるのに対し、女性は、地位や美しさ、性格など、さまざまな基準を組み合わせている。

マッチングアプリのビッグデータ分析からも、女の選り好みの強さが明らかにされている。

It was determined that the bottom 80% of men (in terms of attractiveness) are competing for the bottom 22% of women and the top 78% of women are competing for the top 20% of men.

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従って、男に何らかの下駄を履かせて女からの評価を高めたり、社会的圧力を強めなければ、一夫一妻の皆婚社会は実現できないことになる。男女平等政策やお見合い制度の衰退が非婚化・少子化をもたらすのは必然である。

三流フェミニズム小説の『パワー』では、女が男を暴力的に支配する世界で男を1/10に間引きする案が出されるが、これは男女逆では絶対に出てこない発想である。「劣等な男を淘汰したい」という排除の論理が女の本性であり、これを抑圧しなければ一夫一妻制の社会は維持できない。女の社会進出と格差拡大が同時進行しているのも偶然ではない。

「子孫を残すために男は必要だが、数が多い必要はない」と男性を間引きする案も女性から出るようになる。
宮台 だから、上野さんにお聞きしたいのは、ぼくの「性的弱者論」を批判されてますけれど、実際に現在のような教育システムで育ってくるコミュニケーション・スキルの乏しい男の子たちはどうやって性的欲求を満たし、性的コミュニケーションを確保すればいいんでしょうか。彼らには上野さんがおっしゃるような、学習の余地がほとんどないと思うんです。
上野 自然史的・人類史的に言えば、マスターベーションしながら死んでいただければいいと思います。冷たいでしょうか。そのための産業もちゃんとありますし。だから、できるだけ、他人に迷惑かけない仕方で、性欲を充足していただいたらいい。

ところで、赤川はたった25か国の相関係数0.370というデータから、

少なくとも下降婚の少なさが、人間にとって普遍的な性向でも慣行でもないことは明らかになった。
というわけで、前著での記述は訂正しなければならない。学歴下降婚の少なさには、進化上の理由はない、と。

と結論しているが、これも社会学者にありがちな、願望に歪められた結論先にありきの分析と言わざるを得ない。

ヨーロッパでは政策的に大学進学率を高めたため、大卒が必ずしもエリートを意味しなくなったうえに、多くの国で女の最終学歴が男を上回るようになったことが、学歴下降婚が増えやすくなった原因である。

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「年頃になったら結婚するのが当然」という社会的圧力が強い国でも、学歴下降婚が増えやすい。

女:相手のスペックが不満でも結婚させられる。
男:高学歴というステイタスを手に入れなくても結婚できる。

「配偶相手の評価の際に女性のほうが男性よりも多くの指標を用いている」というように、学歴は指標の一つに過ぎないため、学歴下降婚は総合評価での下降婚を必ずしもを意味しないのである。

また、フランスやスウェーデンなどの北欧諸国が少子化を食い止めていると考えているようだが、

もしあなたが、フランスやスウェーデンを見習って、少子化を食い止めたいと本気で考えているならば、未婚の女性に対して格差婚を勧めてみてはどうだろうか。

フランスの出生数の1/4弱は外国出身の母によるものである。

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北欧諸国の出生率も非ヨーロッパ系移民によって引き上げられており、ノルウェーでも非移民系の合計出生率は1.5に低下している。

北欧人の国際結婚の主な相手が女は西欧や北米の男、男はアジアや東欧の女であることからも、北欧女の下降婚嫌いがわかる。

I asked, “Why a woman from Asia, it is so far away and then there are so many women in Denmark?” He replied, “Look, I am a bus driver, women these days are highly educated and no one wants to marry an uneducated bus driver. Not even a handsome one like me. Time and years are flying by and I want a family.”

赤川の分析の的外れ具合は、上野千鶴子が言うとおりである。

エリート女の泣きどころは、エリート男しか愛せないってこと(笑)。男性評論家はよく、エリート女は家事労働してくれるハウスハスバンドを選べなんて簡単に言うけど、現実的じゃない。

女が格差婚(下降婚)する男とは

女が格差婚(下降婚)しないのは、夫の役割が用心棒兼食料調達係だからだが、これは女にとっての夫が使役動物のようなものであることを意味する。

しかし、地位や財力を手に入れた女には使役動物は必要なくなるので、代わりに愛玩動物を求めるようになる。人気の犬種が猟犬タイプから室内犬に変化してきたようなものである。

究極の格差婚の女の心理を描いているのが小泉八雲の『雪女』である。

白衣の女は、彼の上に段々低く屈んで、しまいに彼女の顔はほとんど彼にふれるようになった、そして彼は――彼女の眼は恐ろしかったが――彼女が大層綺麗である事を見た。しばらく彼女は彼を見続けていた、――それから彼女は微笑した、そしてささやいた、――『私は今ひとりの人のように、あなたをしようかと思った。しかし、あなたを気の毒だと思わずにはいられない、――あなたは若いのだから。……あなたは美少年ね、巳之吉さん、もう私はあなたを害しはしません。しかし、もしあなたが今夜見た事を誰かに――あなたの母さんにでも――云ったら、私に分ります、そして私、あなたを殺します。……覚えていらっしゃい、私の云う事を』

こちらは原文。

The white woman bent down over him, lower and lower, until her face almost touched him; and he saw that she was very beautiful, – though her eyes made him afraid. For a little time she continued to look at him; – then she smiled, and she whispered: – “I intended to treat you like the other man. But I cannot help feeling some pity for you, – because you are so young.... You are a pretty boy, Minokichi; and I will not hurt you now. But, if you ever tell anybody – even your own mother about what you have seen this night, I shall know it; and then I will kill you.... Remember what I say!”

老人は殺すが、若くてルックスが好みの男は気に入り、1年後に人間に化けて偶然を装って接近して妻となり、10人も子供を産むわけである。「母親よりも自分を選べ」とも言っている。

翌年の冬のある晩、家に帰る途中、偶然同じ途を旅している一人の若い女に追いついた。彼女は背の高い、ほっそりした少女で、大層綺麗であった。そして巳之吉の挨拶に答えた彼女の声は歌う鳥の声のように、彼の耳に愉快であった。それから、彼は彼女と並んで歩いた、そして話をし出した。少女は名は「お雪」であると云った。

要するに、優位な女が格差婚するとすれば性的魅力・肉体的魅力に溢れた男になるということである。炎上した呉服店の広告や、日本の大成功した女の歌手がよくわからない若い白人と結婚したことは、富や権力に無縁の低スペック男でも、「白人」という肉体的スペックがあれば優位な女に選ばれ得ることを示している(色の白いは七難隠す)。

https://www.j-cast.com/2008/08/09024718.html

ノッツェやツヴァイには、『外国人はいないのか』と言ってくる日本人女性が多いと聞きますし、欧米人男性がこれからどんどん上位に来るでしょう」と分析する。

精子バンクでもシングルマザー志望者には白人が人気である。

ということで、日本人のキモくて金がないオッサン(KKO)は救われないのである。

ところで雪女といえば、星新一の「雪の女」は男の煩悩(←性欲)を描いた傑作である。

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