給与所得と配当等所得

国税庁の統計から、所得税(源泉+申告)の給与所得と配当等所得の推移をグラフにする。

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バブル崩壊~ITバブル崩壊の約10年間は、給与よりも配当が相対的に減少した。この「失われた10年」は企業が不振の典型的な不景気であり、実質賃金も1996年をピークに減少に転じた。

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実質賃金の減少は2015年まで続いたものの、マクロ経済は2002年には「失われた10年」を脱して戦後最長の景気拡大入りした。2002年から2018年にかけて給与所得は1.2倍だが配当等所得は5.9倍となっている。企業業績と給与の連動が切れたことが、2000年前後に生じた日本経済の構造変化の一つである。

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日本はグローバル金融資本の植民地、日本政府は金融資本の意向に従う総督府のようなものと考えればよい。このことを無視して経済政策を論じても無意味である。

1910年から1945年まで、帝国日本の植民地となった朝鮮。その統治は、政治的には弾圧、経済的には搾取・貧困化という言葉で語られてきた。
国家は課税政策のバランスをとる能力を失っているのだ(これも国家の政策能力不足の証左)。国家は自分が誘致していると思っている資金の動きに振り回されることになる。国家の税収レベルを維持するためには、国家はその他の分野で重税を課さなければならない。そこでヨーロッパでは、20年来、消費に対する税金である付加価値税(TVA)と労働に対する税金である所得税は増税されてきた。これらの税の対象となるものに共通する性格は、移動が簡単ではないということである。一方で、国家は気軽に移動できる資本に対しては減税している。資本に対しては減税、労働に対しては増税。企業に対しては減税、サラリーマンに対しては増税。すなわち、国家もまた、金融資本主義のさらなる強化に加担しているのだ。

2014年5月6日 OECD閣僚理事会 安倍内閣総理大臣基調演説

ヨーロッパの皆さん。成長するアジアに投資をお考えであれば、どうぞ日本に。豊かな自然、おいしい水やきれいな空気、欧州にも負けないパウダースノーのスキー場もあります。もし、皆さんの投資意欲を削ぐ何かが見つかれば、すぐに私に教えてください。いかなる岩盤も、私の「ドリル」の前には無傷ではいられません。
アジア・太平洋に生まれつつある大きな経済圏。そのゲートウェイは、日本です。日本は、皆さんの投資を歓迎します。

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