「女の味方」の男の欠陥論理

このような「女の味方」をする論者の大半は論理がデタラメである。

このような論者が理解していない(あるいは意図的に無視している)のは、賃労働の男女差は配偶者選択の男女差や出産が女しかできないことと表裏一体であることである。

人間は他の多くの動物のように母親だけでは子供を育てられないので、男が母子の生活を長期間サポートする仕組みが一般化したと考えられている。出産した女が男(夫)に求めるものは「自分と子のために稼ぐ」ことなので、家事育児と稼得労働の分担が異なるのが自然である。従って、このような(⇩)主張には全く合理性が無い。

①雇用が喪失した業種で女性割合が高い(飲食・宿泊・小売等)②雇用負荷が高まった対人系業種で女性割合が高い(医療・福祉・保育・教育等)③育児含む家事労働の負担増の多くを女性が引き受けている
コロナ禍で改めて明らかになったのは女性労働者の総数を増やすだけでは全くダメだということです。業種の偏りを是正するのと同時にすでに女性が多い業種の賃金や不安定さをどうにかする必要があります。家庭の中だけでなく家庭の外でも女性はしんどい負担を押し付けられる構造になってしまっています。

女は土方やトラック運転手に、男は看護師や保育士に転職せよということになるが、ほとんどの女は「しんどい負担を押し付けられる」ことを嫌がるだろう。

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共働きの女はしんどい負担を押し付けられているのではなく、稼得労働は夫、家事育児は妻と役割分担しているだけである。「女性が多い業種の賃金や不安定さ」も、家計を助ける程度の働き方をする女が多いことによる。

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男は仕事・女は家事という性別役割分業は確かに女性の労働者化の進展で少し崩れました。でも多くの女性は低賃金・不安定なサービス業に吸収され、それを裏返せば家庭内業務の外出し(介護や外食は典型)、つまり女性が担ってきた家事労働の市場労働への置き換えでした。そこにコロナ禍が直撃しました。

Alison Wolfによると、世界で最も男女平等と女の社会進出が進んだ北欧諸国は、労働市場の男女の偏りが最も大きい国々でもある。女の社会進出とは「女性が担ってきた家事労働の市場労働への置き換え」だったからである。

そしてここが最も重要な点だと思いますが、育児を含む家事労働を賃労働より低く見る価値観を根本的に捨て去り、その上でその負担を家庭内で平等に分け合う必要があります。この不平等な分担構造を温存したまま女性にプラスアルファで賃労働もしてくれというのはあまりに無理筋かつ都合のいい要求です。

夫と妻のペアが賃労働と家事労働を等しく負担するよりも、一方が賃労働、もう一方が家事労働に分業・特化した方が合計パフォーマンスは上がる。この論者は分業の利益を理解していない。

そもそも「家事労働を賃労働より低く見る価値観」を持っているのは、夫婦で役割分担する男ではなく、パワーエリートの女である。北欧諸国の女を見ればわかることである。

彼女の主張はこうだ。デンマークは他の北欧諸国、欧州諸国と比較しても、まだまだ管理職レベルでの男女平等が進んでいない。自分のような立場の女性が仕事に集中し、なおかつ家庭で子どもと過ごす時間を確保するためには、家事と育児をしっかり担ってくれる人材が不可欠である。また子どもの世話はいつも同じ人であることが子どもの福祉を考えても最適であり、急な発熱などにも同じ家庭に暮らすオペアはすぐ対応ができる。オペア制度はデンマークのキャリア女性の権利を支える要であり、この制度を廃止することは、女性の社会進出を阻むことにもつながるのだと。

女の自殺の急増については後日の記事で再度取り上げる予定だが、おそらく主因は三浦春馬と竹内結子の自殺の影響(Werther効果)で、経済苦は誇張されている可能性大である。

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このような底が浅い議論はいい加減に終わりにしてもらいたい。

付録

この人も典型的な「騎士」。

「男性医師がこんなに頑張って仕事をしているのに、女性がそこに入ってやれるわけがない」といって、差別を起こすわけです。

根拠がないのに差別したのではなく、事実として女医は男医よりも働かないから「差別」したのである。

でも世界的に見たら、じつは医師の数は女性のほうが多いのです。ということは、女性の医師のほうが多い国が圧倒的に多い。にもかかわらず日本では男性医師じゃないとやっていけないというのは、男女の能力の問題というより、単なるシステムの不備じゃないかって考えたほうがより合理的ですよ。

女医が多い国の多くでCOVID-19の被害が日本より大きいのは「システムの不備」ではないのだろうか。

「男の医者は夜中まで頑張ってる」みたいな偉そうなことを言ってるけど、それは裏返すと、それって家で何もやってないって意味ですよね。単に奥さんにワンオペの家事を押し付けてるだけでしょ。

奥さんは医師の夫を夜中まで働かせているだけではないのか。医師の仕事は家事よりも楽だというのだろうか。

知的能力が非常に高い男でも、女のことになると途端に非論理的になるのは面白い。性欲のなせる業である。

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