『恐怖の地政学』よりロシアとウクライナ

緊迫するウクライナ情勢を見ていたら以前に読んだ本を思い出した。

原題は"Prisoners of Geography"(2015)。引用部の強調は引用者。

プーチン大統領は2014年の演説で、「新しいロシア」を意味する「ノヴォロシア」に軽く触れた。それを聞いたクレムリン研究家はぎょっとした。プーチンが現在のウクライナ南部と東部のかつての呼称を復活させたからだ。そこは18世紀末、エカチェリナ二世の統治時代にオスマントルコから勝ち取った地域だった。エカチェリナ二世は、その地にロシア人を定住させ、ロシア語を公用語と定めた。ただし、当時の「ノヴォロシア」は新たに成立したウクライナ・ソビエト社会主義共和国に1922年に譲渡される。件の演説でプーチンは「なぜそんなことをしたのか?」と大袈裟にたずねた。「神の審判を待とう」と。演説のなかでプーチンはハルキウ、ルハンシク、ヘルソン、ムィコラーイウ、オデッサといったウクライナの都市名を列挙し、こう述べた。「ロシアはこれらの地域をさまざまな理由で失ったが、人々は残った」
クリミア半島は二世紀にわたりロシアの一部だったが、1954年、フルシチョフ首相によりウクライナ・ソビエト社会主義共和国に譲渡された。当時は、ソビエト国民は永遠に生き続け、モスクワによって永遠に管理されると思われていた時代だった。
ウクライナがソビエトの一部ではなくなり、ロシア寄りでさえなくなったとき、プーチンは状況を変えなければならないと考える。

例えるならこのような事態👇になる。

大日本帝国で共産主義革命が起こる

共産党トップの韓国人が北海道を韓国に編入する

共産主義体制が崩壊して韓国は独立

韓国領になった北海道を日本が奪還しようとする

北方領土が日本固有の領土なら、クリミア半島とノヴォロシアはロシア固有の領土になる。どちらもソ連共産党体制によって奪われた土地である。

プーチン大統領は自分の目の黒いうちに、ソ連共産党によって奪われた失地を回復しようとしているのだろうか。

エマニュエル・トッドはウクライナについて、異質な東部と西部をくっつけた出来損ないの国という主旨の分析をしていたが、ウクライナが国の体をなしていないというのもその通りに見える。

『恐怖の地政学』ではドイツとロシアにも言及している。

ドイツが経済危機以外でもっとも真剣な外交交渉に至ったのが、ウクライナ問題だ。それによってドイツがいま何を重視しているかがよくわかる。
ドイツはEUとNATOという錨によって西ヨーロッパにつなぎ留められている。だが荒天では錨もはずれかねない。しかも地形を見ると、ドイツは必要とあらば東へ視線を転じて、モスクワとの関係を強める方向転換が可能な位置にあるのだ。

日本についてはこれ👇など残念な記述も見られるが、全体としては初心者にはためになる内容だった。

日本は1910年に朝鮮を併合すると、文化の破壊に取りかかった。朝鮮語も歴史教育も禁じ、神道崇拝を強制した。

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