北欧のような男女平等社会では、読解力の性差は大きくなる

小島寛之がリベラル特有の歪んだ解釈をしている。

なぜ、女子が数学で男子に劣るのかについて、最近の研究では、生物学的な理由に求めないものが多い。
もうひとつ、興味深い統計がある。それはOECD生徒の学習到達度調査(PISA)から「男女平等社会ほど、数学の性差は小さい」という帰結だ。図2のグラフを見ればわかるように、女子から見た男子との数学の能力ギャップ(マイナス)は、男女平等度が高まるとともに小さくなっていく(0に近づく)。ノルウェーやスウェーデンのような男女平等な国では、数学の性差はみごとに消え去る。
他方、図3のグラフでは、女子から見た男子との読解の能力ギャップ(プラス)は男女平等度が高まるとともに大きくなっていく。つまり、男女平等な社会ほど、数学の能力は同等に近づき、読解の能力は女子が男子を引き離し、女子は潜在能力を発揮しやすいということになる。

PISA2018ではOECD37か国中、数学の平均点が女>男はアイスランド、イスラエル、ノルウェー、フィンランド、リトアニア、スウェーデンの6か国だった。一方、読解力の平均点は36か国すべてで女>男で、数学と読解力の性差には強い正の相関がある。

画像2

女子教育に力を入れて女の数学の平均点を男と同等以上に引き上げると、読解力では男が潜在能力を発揮しにくくなって女に大差をつけられてしまう。
小島の文章を用いると、この通りである。

男女平等社会ほど、読解力の性差は大きい」という帰結だ。ノルウェーやスウェーデンのような男女平等な国では、読解力の性差はみごとに拡大する。
Some countries provide an environment in which boys can do better. In Latin America the gender gap in reading is relatively small, with boys in Chile, Colombia, Mexico and Peru trailing girls less than they do elsewhere. Awkwardly, however, this nearly always comes with a wider gender gap in maths, in favour of boys. The reverse is true, too: Iceland, Norway and Sweden, which have got girls up to parity with boys in maths, struggle with uncomfortably wide gender gaps in reading. Since 2003, the last occasion when the OECD did a big study, boys in a few countries have caught up in reading and girls in several others have significantly narrowed the gap in maths. No country has managed both.

この事実を素直に解釈すると、このようになる。

❶遺伝的要因は数学は男>女、読解力は女>男
❷環境要因(主に教育)が男女同じだと学力は遺伝的要因を反映して数学は男>女、読解力は女>男になる・・・下図の上
❸数学の学力が女=男になるように環境要因を女>男にすると読解力の差が拡大する・・・下図の下

画像2

女優遇・男冷遇の構造的性差別「ノルウェーやスウェーデンのような男女平等な国」の実態である。「男女平等」は男の低パフォーマンスによって達成されている。日本の結果の男>女は環境要因が男女平等であることの反映である。

画像3

画像4

数学の男>女は是正すべき不平等だが、読解力の女>男は全く問題ではないとされることは、リベラルによる"War Against Boys"の一例である。

たとえるなら、

男女の平均身長差は社会的に作られた不平等
→男だけを栄養不良にする
→平均身長が同じになる
→男女平等の達成

と同じこと。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?