おカネは何もないところからパッと出てこない

反緊縮派にこの👇ような認識が広がっているようだが、これだけでは誤りとは言えないものの、重要なことに言及していないので極めてミスリーディングである。

銀行によるmoney creation(預金の発行)とは、相手の「資産」の価値に応じた金額の通貨を発行して貸す/買い取るもので、支払いには使えない低流動性の資産と支払いに使える高流動性の資産(通貨)の交換というのがその本質である。「資産」には借り手の将来の収入(からの返済)も含まれる。

From an economic viewpoint, commercial banks create private money by transforming an illiquid asset (the borrower’s future ability to repay) into a liquid one (bank deposits); they would quickly be insolvent otherwise.

「有価値の資産を裏付けとして新たな金融資産を発行する」という仕組みは資産担保証券(ABS)と同じである。通貨発行は「何もないところから価値が生まれる」ものではないので、何ら奇妙なことではない。

銀行は流動化する「資産」のリスクに応じて金利を付けるが、国債の場合は信用リスクと流動性リスクは無視できるので、主にインフレリスクによって決まることになる。これは、政府は(反緊縮派が言うように)自由に資金調達して支出できるのではなく、国債市場に制約されていることを意味する。

従って、これ👇は現行制度においては事実ではない。

モズラーによると、政府はまず支出をし、それから課税や借り入れをするという。これはサッチャーの発言のまったく逆で、「支出→(税金+借金)」という図式になる。モズラーの説明では、政府は誰か費用をまかなってくれる人を探すことなどせず、さっさと支出することによって自国通貨を生み出す。

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