消費税と社会保険料

政府が消費税減税に慎重なのは、基幹税としての存在が大きくなっているためである。

1989年の導入以降、法人税と入れ替わる形で消費税の存在が大きくなっている。

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社会保険料は消費税以上に大きい。

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対GDP比で見ると、所得税・法人税の負担は1980年代に比べて低下しているが、社会保険料・消費税は増大する一方である。

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このような課税政策の背景にあるのが金融資本主義である。「労働に対する税金である所得税」は社会保険料に相当する。

国家は課税政策のバランスをとる能力を失っているのだ(これも国家の政策能力不足の証左)。国家は自分が誘致していると思っている資金の動きに振り回されることになる。国家の税収レベルを維持するためには、国家はその他の分野で重税を課さなければならない。そこでヨーロッパでは、20年来、消費に対する税金である付加価値税(TVA)と労働に対する税金である所得税は増税されてきた。これらの税の対象となるものに共通する性格は、移動が簡単ではないということである。一方で、国家は気軽に移動できる資本に対しては減税している。資本に対しては減税、労働に対しては増税。企業に対しては減税、サラリーマンに対しては増税。すなわち、国家もまた、金融資本主義のさらなる強化に加担しているのだ。

日本は高齢化で社会保障費の増大は必至なので、資本と企業に対しては減税するのであれば、労働と消費に重税を課さなければならない。

このような認識(⇩)は、日本政府が金融資本主義のために課税政策のバランスをとる能力を失っていることを示している。


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