国の借金は過去最大でも財政負担はピークの半分

日本語の「国」には中央政府の意味があるので、「国の借金」は表現としておかしくはないのだが、一般国民が借金を恐れる心理に訴えて、緊縮財政を納得させようという意図が感じられる。

一般人でも、企業が事業を継続している間は借入金をゼロに近づける必要が無いことは理解できるはずである。民間企業は市場競争に敗れて消える可能性はあるが、国(中央政府)はそのような事態を想定する必要がない永続的存在なので、借金(国債と借入金)の借り換えと利払いが可能な限りは借金が増えても問題ない。

借り換えに問題が生じるのは金利が大幅に上昇した場合だが、国には民間と違って強制的な集金力(徴税権)があるので、借金が増えてもリスクプレミアムは高まらない。金利を上昇させるリスクは信用リスクではなく、過大な財政赤字と支出がインフレを昂進させてしまうリスクなので、インフレ加速の兆候が無い現時点では問題はない。利払費も対税収比や対GDP比ではピークの約半分で、他の先進国と比べても多くはないので、やはり問題はない。現時点では財政破綻は杞憂ということである。

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「国は通貨のissuerなので国債は借金ではない」「国債は国が発行・支出した通貨に利息を付けるためのツール」という奇説を唱えるセクトがあるが、現行制度はそのような論理構造をしていない。仮にそうだとしても、利払いをするとは「借金」であることに他ならない。

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