MMTの教祖の経済分析力を検証

MMTの教祖の一人、ビル・ミッチェルのハンガリー経済に関する8年前の予測を振り返る。

Conclusionの一部をレイの著書から引用。

ビル・ミッチェルは以下のように結論づけている。
ハンガリー人の生活は、通貨の変動にまともにさらされ、非常につらいものになるだろう。民間部門では、国内所得が減少し、外貨建て債務の返済に苦しむことになるので、実質的な生活水準が著しく低下するだろう。政府もまた、経済の減速、通貨下落に伴う外貨建て債務の著しい実質負担増、輸出増加を生み出す経済的容量の低下(他のヨーロッパ諸国も経済が減速するので)により、デフォルトに向けて追い込まれるだろう。これは非常に切迫した状況であり、債券市場はデフォルトリスクの上昇に反応する。

ミッチェルが記事を書いた2012年の実質GDPは-1.5%だったが、2013年には+2.0%、2014年は+4.2%と盛り返し、2012年→2018年の平均は年率+3.6%となっている。

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1人当たり実質家計最終消費支出≒実質的な生活水準は著しく低下しなかった。

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2012年以降、財政赤字はマーストリヒト基準の対GDP比3%以内を維持し、政府債務も約10%ポイント低下している。

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長期金利はミッチェルが記事を書いた時期が小ピークで、直後から急低下した。債券市場がデフォルトリスクが低下したと判断したことを意味する。

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ミッチェルは「政府はユーロ導入のためにマーストリヒト基準を満たすことを優先→財政赤字を拡大させない→経済が崩壊」と分析していたが、オルバーン政権は財政赤字抑制と景気回復の両立に成功した。

It relies on stability. Prime Minister Orbán told the Chamber of Commerce that the government has refrained from the typical election-year budget spending and aims to keep the fiscal deficit below the three percent threshold. That’s about respecting the European Union’s rules in the Stability and Growth Pact, despite the EU’s double standards that allow some countries to exclude the spending of their export-import banks in the central budget accounting where Hungary is compelled to include it.

逆神のMMTの教祖よりもオルバーン首相の方が経済のことを分かっているようである。


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