フランスの「少子化克服」
以前に書いた記事のデータをアップデート。
日本では、フランスの合計出生率(TFR)が1993・1994年の1.66から反転上昇して2010年には2.0になったことを「フランスは公的な子育て支援策の拡充によって少子化を克服した」と解釈するのが定説になっている。
更新しました! 男が父親になる日 『フランスはどう少子化を克服したか』 - HONZ https://t.co/6LFiGHhps5
— HONZ (@honz_jp) November 8, 2016
いいえ、そうではありません。先進諸国の間では、男女平等の進んでいる国ほど、一時期沈んだ出生率を回復しています。ヨーロッパでも、女性が職業労働で自活することへの賛同が強いフランスやイギリスは出生率アップに成功したが、それが仏英ほどには強くないドイツの出生率は低迷しています。
— 堀 茂樹 (@hori_shigeki) April 3, 2021
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しかし、TFRが1.7未満になったのはこの2年、1.75未満となったのも1992~1997年の6年だけで、そもそも「少子化」と言うほどの持続的な低出生率は生じていなかった。
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「ある年に生まれた女が産んだ子の平均値」を示すコーホート出生率では反転上昇は生じていない。コーホート出生率は1930年前後に生まれた世代が2.6強でピークアウト→1950年頃に生まれた世代の2.1へと急低下→1960年頃以降に生まれた世代は2.0へと低下している。1980年代中頃以降に生まれた世代では更に低下する兆候も見られる。
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フランスは「人口置換水準の近くで保っている国」ではあるが、「少子化を克服した国」という表現は不適当ということになる。
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