フランスの「少子化克服」

以前に書いた記事のデータをアップデート。

日本では、フランスの合計出生率(TFR)が1993・1994年の1.66から反転上昇して2010年には2.0になったことを「フランスは公的な子育て支援策の拡充によって少子化を克服した」と解釈するのが定説になっている。

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しかし、TFRが1.7未満になったのはこの2年、1.75未満となったのも1992~1997年の6年だけで、そもそも「少子化」と言うほどの持続的な低出生率は生じていなかった。

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「ある年に生まれた女が産んだ子の平均値」を示すコーホート出生率では反転上昇は生じていない。コーホート出生率は1930年前後に生まれた世代が2.6強でピークアウト→1950年頃に生まれた世代の2.1へと急低下→1960年頃以降に生まれた世代は2.0へと低下している。1980年代中頃以降に生まれた世代では更に低下する兆候も見られる。

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フランスは「人口置換水準の近くで保っている国」ではあるが、「少子化を克服した国」という表現は不適当ということになる。

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