ミクロとマクロのバッティング

先日も取り上げたこれ👇だが、このミクロとマクロのバッティングが少子化につながっているという指摘は、日本経済の大停滞にも通じる。

少子化は――人口問題全般ですけど――マクロな現象なんですよね。全体的な現象なので、個人の効用とマクロで見た効用ってのがバッティングする場合が多いのでなかなか難しい問題です。

こちら👇は『日本経済の見えない真実』だが、人口減少のために「国内に成長ストーリーが乏しいという条件」下で個々の企業が合理的に行動すると、「国内での設備投資や人件費を抑え海外展開を強化すること」になり、マクロ経済の成長が抑制されてしまう。

問題は、株主価値の増大とGDPの増加は同じではなく、むしろ相反する面もありうるという点である。国内市場に成長の展望が乏しいなら、投資家はグローバル展開に積極的な企業に投資する。企業経営者にとっては、国内での設備投資や人件費を抑え海外展開を強化することが、株主に説明しやすい成長戦略になる。つまり、国内に成長ストーリーが乏しいという条件が最初にあると、株主の声が経営に反映されるようになればなるほど、「合成の誤謬」による国内市場のスパイラルが増幅されやすくなるのである。

日本経済の見えない真実』p.57

この「合成の誤謬」を脱するには、昔風に言うと「利潤本位から生産本位」への転換が必要だが、現在の日本の政治・経済・社会体制においてはほぼ不可能なので、このまま地盤沈下が続いていくことになる。同じ理由で少子化も止まらない。


少子化をもたらす個々人の合理的な判断とは、

  1. 配偶者選びで妥協しない(見つからなければ生涯未婚も選択肢に)

  2. 結婚したら子は二人(人口再生産完了)

1.の妥協させない周囲からの圧力や社会規範が無くなったことが少子化の根本原因。

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