夫婦別姓の東アジア&イスラエルの出生率

東アジア

国民民主党の玉木代表が1月22日の衆議院代表質問でこのように発言した。

先日、20代の若い男性から相談を受けました。交際している女性から「姓を変えないといけないから結婚できない」と言われたそうです。夫婦同姓も結婚の障害になっています。今、ヤジで「だったら結婚しなくていい」とそういう話がありました。でも結婚数や結婚率を上げていくことが、国難突破の少子化対策になるんじゃないでしょうか。もはや法律で夫婦同姓を義務付けている国は日本だけです。速やかに選択的夫婦別姓を実現すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

既に多くの人から突っ込まれているが、夫婦別姓の中華圏・韓国の出生率は日本より低い。

画像1

画像2

台湾は同性婚も法制化したリベラルの優等生だが、リベラル化が進むほど出生率は低下している。

(同性婚の狙いは、結婚から繁殖のための男女のペアリング、家族から人口再生産のための単位の意味を抜いて脱構築してしまうことにある。)

そもそも、「姓を変えないといけないから結婚できない」という女や男が日本全体の婚姻率や出生率に影響するほど多いはずがない。玉木代表や夫婦別姓推進論者の真の狙いは、家族制度の解体にあると考えられる。国家や婚姻・家族など、人間が構築した制度を悉く解体(脱構築)してばらばらの個人に還元すれば理想社会が実現する、というのがポストモダン系リベラルの思想であり、これは資本の論理≒ネオリベラリズムに通じる。

人種問題にしろ老人問題にしろ、ほとんどあらゆる差別反対運動は、カテゴリーを解体して個人に還元せよという要求をもっているように見える。
個人主義という思想は、カテゴリーを解体しつくしそうとする。女の運動もまたそれに手を貸している。大人と子供、男と女、老人と若者というカテゴリーがすべて解体し、平等な個人がむき出された時に、一体どんな理想社会が実現するのか、私自身もそれに手を貸しながら、ふとアンビヴァレントな思いを避けることができない。
資本は、無家族を理想とします。真っ平な平面に置かれたバラバラの個人のほうが管理がしやすいからです。今、家族のなかに外部の論理が急速に浸透し始めています。規制緩和という名目でも、家は、しだいに解体の方向へ仕向けられています。家がなくなれば、人間は散乱した存在となります。

日本の氏・苗字と中国・韓国の姓は意味が異なることも重要である(創氏改名が誤解される原因)。「中国や韓国の真似をすればよいだけ」という単純なものではない。

「家」概念は中国と日本とでは大きく異なります。日本の「イエ」は、祖先と子孫を含む血縁集団というよりも、一種の形式的な機構であったのです。
イエは、一個の企業体(コーポレーション)であって、イエ存続のためにはまったく血縁関係のない人間を養子に迎える(異姓養子)こともできたのです。断絶していたイエさえも、何ら血縁関係のない人間が継いで再興することもできました。むろん、中国では(朝鮮半島でも)そのようなことはありえませんでした。同じ気(同一気)を受けた者(しかも息子の世代に属する者、たとえば甥の横すべり)でなければ、つまり先祖からの流れを断たない者でなければ養子にはなれませんでした。それが祖先崇拝の伝統であったのです。

イスラエル

フィンランドの合計出生率が2019年に1.35に低下するなど、女尊男卑が非婚化・少子化を促進することが明らかになりつつあるが、その例外がイスラエルである。

PISA2018では読解力、科学、数学のすべてで平均点が女>男になるなど、女が著しくempowerされているが、

画像3

画像4

画像5

合計出生率は先進国では異例の高水準にある。

画像6

過去半世紀の推移を宗教別に見ると、イスラム教は9→3に低下したが、ユダヤ教は3前後をキープしている。2018年にはユダヤ教3.17、イスラム教3.20とほぼ同水準になっている。

画像7

画像8

宗教分類外の合計出生率は他の先進国並みの1.54(2018年)に低下しているので、「産めよ、増えよ、地に満ちよ」の宗教がユダヤ教徒の高出生率を支えていることは間違いない。フェミニストも神の命令には従うわけである。

In a country with no shortage of friction between the Jewish majority and the Arab minority, a fundamentally pro-natal impulse constitutes a common value. The first commandment in the Bible calls on humans to “Be fruitful and multiply and fill up the earth” (Genesis: 1:28). Jewish tradition not only presents this expectation as an individual obligation but as a collective mission.

(キリスト教圏では死んだ神の代わりがフェミニスト。)

「少子化になれば国内外のイスラム教徒に人口で圧倒されて国が滅んでしまう」という今そこにある危機感も高出生率を支えている。

人口が基礎国力であり、人口差がそのまま国防上の危機に直結した時代である。「産めよ殖やせよ」には兵士確保策としての目的はもちろんのこと、日本人口の減少に伴い近隣諸国に国力で負けることへの政府の危機感があったのだ。
「出生率に於いて我が国より遥かに高いソ聯や支那、印度は更に全人口が我が国の二倍乃至四倍もある。従つて年々に生れる赤坊の数を比較すると、我が国で一人生れる間に支那では七人生れ、印度では五人、ソ聯では三人生れてゐる。我が国が之等多産の国々に伍して大いに国運を伸ばして行く為には余程国民の自覚を必要とする」とも記している。

イスラエルは国が置かれている環境と宗教が特殊すぎるので、他国が少子化対策のモデルにすることは難しい。

余談だが、イスラエルの子供は東アジアに比べると躾けが足りず野獣のようである。子育てに要求される水準が低いことが、育てやすさにつながっているとも考えられる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?