日本経済のヤバさを示す二つの指標

この👇ような懸念に根拠があることは単純な経済指標からも分かる。

👇は有名なエンゲル係数で、生活が豊かになると低下する普遍的傾向があることが知られている。しかし、日本のエンゲル係数の低下傾向は2000年代初頭に止まり、第二次安倍政権期からは反転上昇している。

総務省統計局「家計調査」

これと似た推移をしているのが消費者物価指数の財価格とサービス価格の比(相対価格)である。財とサービス(情報通信関係を除く)では技術進歩や機械化による労働生産性向上に差があるので、生産性が上がりやすい財の価格は上がりにくいサービスに比べて低下していく傾向にある。しかし、日本では2000年代初頭に低下傾向が止まり、第二次安倍政権期からは反転上昇している。

総務省統計局「消費者物価指数」より作成

この二つの指標が示しているのは、日本では2000年代初頭に経済の"レジーム・チェンジ"が起こり、それによって「技術革新と設備投資による生産性向上→実質賃金上昇→国民全般の生活水準上昇」の動きが停止・反転してしまったことを示している。

そのレジーム・チェンジとは何だったのかを示す指標の一つが👇で、企業の利益率重視への転換が国民全般の経済厚生を引き下げる力となっている。

財務省「法人企業統計調査」
全産業(除く金融保険業)・全規模
2009年度以降は純粋持株会社を除く

重要なのは、為政者はこの状態を「経済政策・運営の失敗」ではなく、むしろ成功だと認識していることである。1990年代から金融資本主義(株主至上主義)の浸透もあって株価が経済パフォーマンスのバロメーターだという観念が社会に広がったが、そのような判断基準に従うなら、企業業績と株価が史上最高水準となっている現状は「成功」以外の何物でもない。

BCGのProduct Portfolio Managementに当てはめると、日本企業の現状は市場の成長率は低いが安定的に稼げているキャッシュ・カウなので、変える必要が無い→現状維持が続くわけである。

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