「税は財源ではない」・・・だから何?

政府の主な財源は租税と借入(債務証券の発行)だが、これは誤りで通貨発行だとする経済カルトがある。

政府にとって、税金は財源ではなく、国債は資金調達手段ではない。政府が先に通貨を支出しない限り、民間部門は税金を納めることも、国債を購入することも論理的に不可能である。税金は所得、国債は金利にはたらきかけ、経済を適正水準に調整するための政策手段である。

https://book.asahi.com/jinbun/article/14634560

カルトの信者はこの二つの形式から重大な差異が生じると主張するがそうではないい。租税が財源であろうがなかろうが、政府が民間から徴税することに変わりはなく、徴税額が減るわけでもない。税目と徴税額が同じなら納税者と民間経済への影響は同じである。また、歳出の原資が租税でも通貨発行でも民間が受け取る"カネ"に違いはないので影響は同じである。どちらの形式でも民間と統合政府のカネのやり取りは全く同じなので、民間にとっては区別する意味が皆無なのである。

結局、信者たちは「税は財源ではない」という反常識の言葉に酔ってしまって、そこで思考が停止している。

補足

「租税が財源ならコロナ対策の大規模支出は不可能」というのも誤り。現実の制度はこのように運営されている。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、政府はさまざまな対策を講じている。まず、1月30日にはコロナ対策本部を、2月14日には専門家会議を設置。その後、3月28日は基本的対処方針が決定され、4月30日には、過去最大規模となる約25兆7,000億円の一般会計の1次補正予算を決定した。さらに、6月12日には、1次を上回る約32兆円の2次補正予算を決定し、合計約57兆6,000億円の経済対策が講じられることとなった)。
補正予算を執行するには、資金調達が必要になる。政府の予算は、各年度の歳入と歳出を年度を通じてみれば均衡するように決定される。その歳入の財源は主に税収などや国債発行によって賄われているが、コロナ対策として歳出を増やした分については、国債発行計画を見直して国債を追加発行し、資金調達をする必要があった。
しかし、追加で国債を発行し、資金調達するには時間がかかる。3カ月先の7月以降になる見込みだった。それまでの間は、短期的な資金繰りで乗り切るしかない。更に、コロナ対策として納税の特例猶予なども実施したため、当初想定通りの税収が入ってくることも期待できない。

しかし、補正予算の決定後は、早急に資金が必要となったことから、特別会計(特会)に融通していた資金を返済してもらうことで約40兆円を確保した。それでも合計約57兆6,000億円の補正予算を賄うには不足するため、平成27年の発行以来、5年ぶりとなる財務省証券を6月に発行して補正予算の支出に対応した。

https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/13141377/www.mof.go.jp/public_relations/finance/202011/index.html
特集「新型コロナに対応した資金調達と債務管理」

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