フェイクニュースで勉強する国会議員

原口元総務大臣らの勉強会の内容がフェイクニュース工場(京都大学)で作られたトンデモなので、その一部について検証する。

超弩級のトンデモがこちら。これを本気にしたのであれば議員失格である。

家計消費が伸び悩んでいるのは、主な原資の賃金・俸給が増えなくなったためである。

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賃金・俸給の抑制は企業利益の大幅増と裏表の関係にあり、消費税率の+2%ポイントとは直接の関係はない。

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1995年度と2017年度を比べると、賃金・俸給はほぼ同額だが、配当支払い前の法人企業所得は+53.9兆円、支払配当は+26.5兆円である。

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売上高経常利益率は高度成長期の水準を大きく上回っている。

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家計消費の伸び悩みは、企業が株主重視経営になったことで、付加価値の増加分が資本の総取りになり、労働に分配されなくなったことにある。

「企業は、株主にどれだけ報いるかだ。雇用や国のあり方まで経営者が考える必要はない」
「それはあなた、国賊だ。我々はそんな気持ちで経営をやってきたんじゃない」
94年2月25日、千葉県浦安市舞浜の高級ホテル「ヒルトン東京ベイ」。大手企業のトップら14人が新しい日本型経営を提案するため、泊まり込みで激しい議論を繰り広げた。論争の中心になったのが「雇用重視」を掲げる新日本製鉄社長の今井敬と、「株主重視」への転換を唱えるオリックス社長の宮内義彦だった。経済界で「今井・宮内論争」と言われる。
資本主義の企業は、株主に最大の利益(配当)をもたらすことを以て、その目的とする。
コストを最小にするのが目的である。

このような狂人学者の思想(⇧)に基づいて、グローバル投資家に最大の利益をもたらすために人件費を最小にする経営に転換したことが家計窮乏化の根本原因なのだが、そのことに触れずに全部消費税のせいだ(ZSS)と騒ぎ立てる論者は、グローバル投資家の配下の工作員かもしれない。「何を言わないか」にその論者の真意が隠れている。

「賃金が激しく下落した」はミスリードを狙った表現で、名目ベースでは「きまって支給する給与」は増えている。

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実質ベースで「激しく下落」したのは、消費税率引き上げに加えて食料価格が急上昇したためである。軽減税率付の2%ポイントの引き上げで「さらに3~4%下落することは確実」ではない。

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実質ベースでは「きまって支給する給与」の2012→2014年度の急落よりも、現金給与総額の長期的な下落の方が重要なのだが、8%への引き上げの悪影響を過大に見せるために、意図的に「きまって支給する給与」のグラフを示したのだろう。

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トレンド線の作成法が不明だが、2012年Q3と2014年Q1とQ2の中間点を結んだオリーブ色の線(年率+1.9%)とほぼ同じになる。紫色の線(年率+1.3%)は2012年Q3と2018年Q1を結んでいる。

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オリーブ色の線はリーマンショックの底からのリバウンドの勢いが継続していくことになり、景気拡大期の2002年Q1→2008年Q3の年率+1.6%を上回っているので、成長率を高く見積もり過ぎている可能性が高い。完全失業率の推移からも、2014年の消費税率引き上げのマイナス効果は読み取れない。

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データが5年毎なのは、円高の山の1995年と谷の2015年のドル換算GDPを比較して「20年間でマイナス20%」と強調するためである。円ベースの実質GDPはその間に18%成長して、その後も増えている。

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世界経済がITバブル崩壊から成長に転じた2002年を起点にすると、日本経済の成長率は低くない。「日本は世界一かつ世界唯一の衰弱国家」はフェイクニュースである。

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世界経済におけるプレゼンス縮小は、主に大幅な円安(日本の財・サービスと労働力の大安売り≒おもてなし)と人口減少によるものである。

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データが2008年度までなのは、2013→2015年度に赤字国債発行額は減少しているので都合が悪いからだろう。1997→1999年度の激増は金融危機、2007→2009年度の激増はリーマンショック(世界大不況)が原因で、消費税ではない。赤字国債発行額と完全失業率が似た推移をしていることにも注目。

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「消費税率を引き上げると税収は減る」もフェイクニュースである。1997~2002年度の法人税の減少は、税率引き下げと不良債権処理、リストラクチャリングの本格化(→損失計上)によるもので、消費税率引き上げとは直接の関係はない。

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与野党の国会議員がフェイクニュースで「勉強」しているのだから、トンデモな経済政策しか考えられなくて当然である。

こちらの52:40~も参考に。

自分に酔ってる感が伝わってくる。

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