日本人に貧しさをエンジョイさせたい毎日新聞

毎日新聞の社説が政府予算を「身の丈」に合わせてダウンサイジングせよと、橋本龍太郎のようなことを書いている。

税収全体も63兆円台と今年度を上回るという。
それでも歳出を賄うにはほど遠い。

歳入の1/4が特例公債金(赤字国債)なので「借金漬け」ということになる。

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消費税率が3%→5%→8%→10%と引き上げられる一方で、法人税率は引き下げられている。仮に、1990年代半ばまでの税率だったとすると、法人税収を2倍近くに増やせることになる(あくまでも他の条件は一定だが)。

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さらに、国債費を利払費に限定する。

ほとんどの先進国の国家予算は償還費を計上せず、国債費=利払い費となっている。

法人税を21.5兆円、利払費を9.0兆円とすると、赤字国債無しで歳入と歳出はほぼ均衡する。法人税減税がなければそれほど税収不足にはなっていないことになる。

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いい加減にしてもらいたいのが「借金を返済しなければならない」との思い込みである。

しかも危機的な財政を踏まえると借金返済にできるだけ回すのが筋だ。ところが歳出拡大に使ってしまうため、予算の3割以上も国債に頼る「借金漬け」は変わらない。
借金の山という負の遺産を残すのはあまりに無責任だ。

貨幣経済においては、市中の通貨量が不足しないようにすることが政府の役割になる。現代の通貨システムでは、市中の通貨の供給は政府から民間銀行にアウトソースされており、政府は支出を通貨発行によってファイナンスする代わりに、国債を発行して民間から資金調達する形式になっている。そのため、民間銀行が保有する国債が償還されると銀行のバランスシートが両建てで縮小してマネーストックも減ってしまう。

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銀行の民間向け信用が大幅に伸びてインフレ率も高騰している局面では、マネーストックの伸びを減速させる「借金返済」は適切だが、現在の日本経済がそのような状況ではないことは、低いインフレ率と国債金利が示している。つまり、借金は過大ではないということである。

金利を上昇させるリスクは民間と政府では異なる。政府は永続的存在で徴税権と通貨発行権を持つので、信用リスクは事実上ゼロである。政府の過大な借金のリスクとは、政府がデフォルトすることではなく、市中にマネーが溢れて狂乱物価を引き起こすことである。

民間の借金が過大:デフォルトするリスクと金利が上昇
政府の借金が過大:インフレを昂進させてしまうリスクと金利が上昇

ケインズは『一般理論』の最後に「危険なのは既得権益ではなく思想」と書いていたが、「国の借金を返済しなければならない」という誤った思想(思い込み)が、多くの日本人の厚生を損なっている。

われわれは貧しくなければならない。なぜならば豊かになることは「ペイ」しないからである。われわれは粗末な家に住まなければならない。それは立派な家を建てられないからではなく、その余裕がないからである。

社説の筆者は高給取りなので、この世は理不尽である。

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