ハイパーグローバリゼーションから離脱したイギリス・突き進む日本

Brexitの立役者のナイジェル・ファラージは、欧州議会での旗を振るパフォーマンスなどお笑い的なイメージで見られがちだが、非常に本質的なことを語っているので是非聞いてもらいたい。

冒頭では、共通市場に参加したつもりが政治統合など異質なものへと変化したことを指摘。

2:50~では、EUがundemocraticだけでなく、accountabilityの無い人々に力を与えたanti-democraticなものだと批判しているが、これはDani Rodrikの"Globalization Paradox"(❶❷❸のトリレンマ)である。

❶Hyper-globalization
❷National sovereignty
❸Democratic politics

EUは主権国家の枠組みは残したままハイパーグローバリゼーションに突き進んだため、各国内の政治が国民の意見を吸い上げるボトムアップの民主的なものから、上から押し付けるトップダウンの反民主的なものになってしまったわけである。Rodrikの分析によると、グローバリゼーションの効用はラッファー・カーブのようなもので、ある程度まではプラスだが、やり過ぎるとマイナスに転じてしまう。

My own fight with the EU came about because of a wish to be free of the bureaucratic, anti-democratic, supranational structures based in Brussels. This battle has dominated my life for the last 27 years.
The fact is that the liberal elite of the 21st century only hold true to their "democratic principles" when the result suits them.
To his great credit, Trump has stuck by his pledges to the American people. He is seen to be on the side of ordinary American citizens and against the elites. This is a key factor in all populist success.

ファラージは世界各国でglobalismとpopulismの歴史的闘争が進行中だと述べたが、これはトランプのglobalist対nationalistの見方と同じである。

あるいはAnywheres対Somewheresでもある。

エリート-Anywheres-グローバリスト
一般国民-Somewheres-ポピュリスト・ナショナリスト

グローバリズムは帝国主義、ナショナリズム・ポピュリズムは民族主義・民族自決の現代版と考えればよい。

グローバリストによる一般国民への攻撃は日本でも進行中なのだが、EUのように「目に見える」敵ではなく、グローバル資本による低開発化という目に見えにくい形をとっているためか、なすすべもなく一方的にダメージを受ける状態が20年以上も続いている。しかも、内閣総理大臣がグローバル資本の尖兵となってハイパーグローバリゼーションに邁進している。

安倍首相は2013年9月にニューヨーク証券取引所でこのように述べたが、

世界経済を動かす「ウォール街」。この名前を聞くと、マイケル・ダグラス演じるゴードン・ゲッコーを思い出します。
「Money never sleeps」のタイトルさながらに、お金は儲かるところに流れる、その原理は極めてシビアです。

資本は成熟国よりも新興国、人口減少国よりも人口増加国に流れるので、ハイパーグローバリゼーションを進めれば、成熟した人口減少国の日本は資本を吸い出されて衰退が加速してしまう。「日本再興」がいつの間にか観光やカジノといった過疎地域振興策になったのもそのためである。

もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました。
日本はこれから、グローバルな知の流れ、貿易のフロー、投資の流れに、もっとはるかに、深く組み込まれた経済になります。外国の企業・人が、最も仕事をしやすい国に、日本は変わっていきます。
そのとき社会はあたかもリセット・ボタンを押したようになって、日本の景色は一変するでしょう。

(安倍首相を極右・排外主義者だと批判するアホ学者が大勢いるが、事の本質を全く理解できていない。安倍首相はおそらく、日本の歴代最高権力者で一番のグローバリストで事大主義者である。)

日本を外国マネーに依存する乞食国に一変させることに精力を注ぐ安倍首相の長期政権が続いていることは、日本がグローバリズム対ポピュリズムの歴史的闘争の蚊帳の外であることを示している。ファラージのような人物が登場しない限り、このまま没落していくのだろう。

ファラージの紹介・登場・演説は1:45:00~

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